コラム”

「チョー久々」
2022年9月27日

9月18日の日曜日は台風の影響で高知空港の敷地外に出ないで帰宅するという初めての経験。
それをもたらした台風が通り過ぎたので、北海道へは予定通り出発できました。

今回の目的のひとつは、静内で開催される1歳馬の競り市場「セプテンバーセール」の視察。
私を「競り市場にいる人」とイメージしている人がいるかもしれませんが、
じつはなんと、北海道の0~1歳馬の市場に行くのはおそらく14年ぶりなのです。
確かな記憶がないので数字はテキトーですが、10年以上は間違いありません。

私の競馬に関する現在の基礎になったのは、競馬マスコミの一員になれた当初に北海道を用もないのにウロウロしたこと。
静内の競り市場でも2年ほど手伝わせていただきました。

しかしながら見学者という立場だと、それが“悪目立ち”になると感じることが多くなりました。
それが「用もないのにウロウロ」しなくなった最大の理由。
それでも馬産地を歩き回った10年ほどの間に知り合った人はメチャメチャ多くて、
あちこちに行っておいてよかったと実感しています。

その一環で、競り市場に行くのも遠慮していました。
でも、私が仕事をしていた頃とは見違えるほど繁盛している現状を見ておくことも必要かなと思い、
行かないという自分のシバリを解禁することにしたのです。

という理由なので、サクサク行ってサクサク撤収するのが基本方針。
11時すぎに現地に着いて、手続きをしてから構内に入場。
現在は入構章を首から下げていないとダメとなっています。

入構証

(入構章)

まずはヤクルトファンの後輩からの依頼、
「会社を辞めて実家の牧場に戻った元同僚のLINEが消えてしまったので、会えたらヨロシク伝えておいてください」
なるほど、最近の若いモンは電話番号とか知らないで連絡を取り合っているケースがあるのね。

そういえば私もそういう人がいっぱいいるわ(汗)
さっそくそれを完了するべく、その牧場の上場馬がいる厩舎にレッツゴー。

展示は終了

(展示は終了)

すると馬房の前は無人。
となりの馬房の人に購買者と間違えられて「馬出しましょうか?」と言われたので、スミマセンスミマセンと断って退散しました。
やっぱり買わない人がウロウロする場所ではないのだな(笑)。
その牧場の馬は2頭いて、1頭目が競り開始からわりとすぐに登場。
だから馬房に誰もいなかったのね。

では会場内の席に座って、その馬の競りが終わったところで声をかけることにしましょう。

12時からスタート

(12時からスタート)

……でも売れなかったら声をかけにくいよなあ。
セプテンバーセールは、日本最大の上場数があるサマーセールと、
それまでの競り市場で落札されなかった馬たちが多く上場されるオータムセール(10月17~18日)の谷間にあるので、
低めの価格帯での落札を目指す人が中心になる競り市場。牧場側もそのニーズに合わせた馬を出す傾向です。

ダート系の種牡馬が多いラインナップで、地方競馬系の人の落札が続く流れ。
しかしその牧場の馬の1つ前は、誰からも手が上がらず「主取り」。

これは……ゴクリ

さあ、果たして購入希望者は現れるのかと見守ると、誰からも手が上がらない……
これはヤヴァイ、とあせったところで、私の右側で手を挙げている人を現認!
結局、手を挙げたのはその人だけでした。でも落札は落札。よかったよかった。
鑑定人が振り下ろすハンマーの音が聞こえた瞬間に外に出て、馬の引き手を持っていた人に、ヤクルトファンからの伝言を届けました。

ついでに牧場の場長にもあいさつ。じつは後輩の同僚は、私が行ったことがある牧場の息子さんだったのです。
馬産地をウロウロしていた甲斐があったというものですわ(笑)。

おめでとうございます

(おめでとうございます)

その任務を果たしたら、速攻で会場から脱出。
ここからは観光客に変身して、まずはゴールドシップとコスモバルクなどを見にビッグレッドファームに向かいます。
顔なじみのスタッフさんから聞いたところ、どうも「ウマ娘」の効果で以前とは違う雰囲気の来場者が増えている模様。

確かにゴールドシップの放牧地に行くと
「へえ、ゴールドシップって有馬記念や宝塚記念を勝ったんだ~」
と歩きスマホをしながらつぶやく、牧場見学っぽくない服装をした兄ちゃん(推定21歳)がいました。
そういうこともあって、見学時間が13~16時と以前より短くなったのかも。

ゴールドシップ

(ゴールドシップ)

ちなみに種牡馬エリアから少し離れた場所にある、コスモバルクの放牧地に足を運んだのは私だけ……。
ウマ娘にはコスモバルクがいないのかなあ(やっていないので分からない)。

それでも秋空の下での牧場散策は、とても気持ちのいい時間でした。
忘れてはいけないのは、これが牧場側の厚意だということ。
この点はもっと強調してもいいのでは?

ビッグレッドファーム

(ビッグレッドファーム)

続いて、アロースタッドに伺って種牡馬を見学。
いや~、ビッグアーサーのアゴのデカさには驚いた!

そして馬房のなかにいる種牡馬の体つきをチェック。
3年前の「SPAT4プレミアムポイント」の北海道ツアー以降に仲間入りした種牡馬も多いので、
ここで得た経験を今後のレース予想につなげられればと思います☆

ビッグアーサー

(ビッグアーサー)

しかし残念。
今週の日本テレビ盃の出走馬で、今回の北海道で見た種牡馬の産駒はクラウンプライド(父リーチザクラウン)しかいない……。

◎6.クラウンプライド
○10.ギガキング
▲1.フルデプスリーダー
△7.サルサディオーネ
△8.ミューチャリー
穴3.ノットゥルノ
穴12.ペイシャエス

前段のフリがあったからではなく、普通に考えてクラウンプライドが狙えると思います。
ヒヤシンスステークスはスタートが芝なので、出遅れての6着も度外視可能。
今回は休み明けですが、9月の初めから順調に乗り込めているようです。
母のエミーズプライドが船橋でたくさん勝ち星を挙げたという点もプラスに取ります。

相手筆頭にはギガキングを抜擢。
マーキュリーカップは時計が速かったし暑かったし、ということで度外視していいでしょう。
気温が下がると調子が上がるタイプだと思います。

連勝中の勢いがあるフルデプスリーダーが3番手。
サルサディオーネはJBCが大目標なのでしょうが、今回の顔ぶれなら単騎逃げが狙えそう。
ミューチャリーは前走の大幅体重減から体調が戻っているか微妙ですが、無視しにくい存在といえます。

そして「穴」の2頭は3着の欄に固定。
ジャパンダートダービー組はなんとなくピンとこないですよ。個人的な意見ですが。
むしろ“ヌケ”にして妙味を追うほうがいいと判断しました!


プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
JRA、青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

コラム一覧