コラム”

「ディクテオン」
2025年9月16日

大井競馬場では今週水曜日(9月17日)の第9レース終了後に、「ディクテオン・コリアカップ優勝報告会」が実施されます。
ディクテオンは登場しませんが、勝利に携わったみなさんがスタンド前の賞典台に登場します。
ぜひ、大井競馬場にお越しくださいませ!

そのコリアカップは、ソウル競馬場のダート1,800m。
内回りコースからスタートして、4コーナーで外回りコースに合流します。

ソウル競馬場の1,800m戦

(ソウル競馬場の1,800m戦)

韓国馬事会は一昨年からコリアカップ&スプリントの外国馬の選定方法を
「過去11か月のレーティングを基準とする」に変更しました。

以前は選定委員会みたいな組織が選んでいたので、4年前に招待されたのはスプリントがラプタス、カップがセキフウ。
それを見たとき「絶妙な選択だなあ」と感じましたが、実際もラプタスが2着、セキフウが3着と絶妙な結果。
どちらも勝ったのは韓国馬でした。

でもレーティングを基準にすると、選ばれるのは「マジで強い馬」。
韓国馬にとって、厳しい時代に突入した気がします……

コリアスプリントのスタート前

(コリアスプリントのスタート前)

今年のコリアカップの出走馬は11頭。
日本からは他に、ラムジェット、ドゥラエレーデが出走。香港からチェンチェングローリーがエントリーしてきました。
対する韓国馬は、中距離最強のグローバルヒットが調子イマイチで回避。

というわけで、単勝1番人気はラムジェット(2.3倍)、2番人気はドゥラエレーデ(3.2倍)で、
ディクテオンとチャンチェングローリーが7.1倍で3番人気。
でも私がいつも買っている専門紙「加速度競馬」では、ディクテオンが本命だったんですよ。

本命は7番のディクテオン。2番手が6番のドゥラエレーデ。3番のラムジェットは3番手

(本命は7番のディクテオン。2番手が6番のドゥラエレーデ。3番のラムジェットは3番手)

おお、わかっとるやないかい(ニヤリ)。
と思ったのですが、パドックに各馬が入ってきたときは9倍くらい。そんなんなの?
これはおそらく、他の専門紙の影響。なんてったって、韓国には専門紙が15種類くらいあるので……。
その多くがJRAの馬を優先したのかも。

でもじつはワタクシ、自宅を出る前から買う馬券を決めていました。それは、
☆ラムジェットとディクテオンの単勝と、この2頭の馬複&ワイド

ラムジェットは東京ダービーで佐々木晶三調教師と喜び合った、その記憶があるから応援せねばなりませぬ。
もちろん、大井所属馬の優勝も願わなければなりませぬ。

レース3時間前の荒山勝徳調教師

(レース3時間前の荒山勝徳調教師)

ちなみに韓国馬での1番人気は、単勝14.6倍のサクセスベクパ(全体では5番人気)。
続いてスピードヤングの15.3倍(6番人気)。
しかしですよ。サクセスベクパは4月20日のYTN杯で、3着のユメノホノオ(高知)から1馬身半差の4着。
スピードヤングはユメノホノオとはクビ差で2着。その比較ではちょっと厳しいんでないかい?

そしてスタート。6頭が先頭集団を形成して、ディクテオンは2コーナーでは離れた8番手。
そして向正面のなかほどから徐々に位置を上げる姿を見て、「これは勝てるんじゃない?」と直感しました。
そこからは心がヒリヒリ。少しずつ差を詰めてきたディクテオンは、ゴールの50m手前あたりで先頭に立って押し切ってくれました。
コリアカップレース映像(公式YouTubeチャンネル「KRBC」)

地方所属馬の海外グレードレースの制覇は、2006年のコスモバルク以来(シンガポール航空国際カップ=G1)。
歴史に名を刻むシーンを現地で見られて感無量です。

歴史的勝利

(歴史的勝利)

そうなると「アタック!地方競馬」の取材チームもテンションがアゲアゲ。
今回の勝利は前編と後編に分けて放送されることになりました。

今年の韓国国際競走で印象に残ったことのひとつは、韓国での調教を任された藤田凌騎手が
「勝ててホッとしましたが、同時に自分が乗れなかった悔しさがあります」と話していたこと。
今回は「縁の下の力持ち」でしたが、この経験は今後の飛躍につながるはず!

藤田凌騎手と荒山調教師

(藤田凌騎手と荒山調教師)

もうひとつは、香港馬の底力。
コリアスプリントを勝ったセルフインプルーブメントは、前走がクラス2(オープンのひとつ下)で12頭立ての最低人気で11着ですよ。
それで勝つってどういうこと?

コリアカップ2着のチェンチェングローリーも、前走がいわゆるオープン特別で7番人気6着。
これならおそらく来年も香港馬が来るでしょう。忘れずに押さえておかないと。

香港のチャンチェングローリー

(香港のチェンチェングローリー)

レース後は8名で打ち上げをして、そこで翌日のチェジュ島への航空券とレンタカーを手配しました(遅い)。
現地では綱渡りな感じになりながらも無事に牧場を訪問できて、火曜日はソウル近郊の牧場を訪問。
水曜日に帰国して、日曜日から北海道に来ております。

第1回コリアカップの覇者・クリソライトを見にソウル近郊へ

(第1回コリアカップの覇者・クリソライトを見にソウル近郊へ)

というわけで、水曜日の東京記念は北の国で観戦します。

◎12.グロリアムンディ
○13.セイカメテオポリス
▲10.マルカンラニ
△7.グリューヴルム
△4.エクセスリターン
△9.ヴェルテックス
△14.ヴィアメント

グロリアムンディは一昨年のコリアカップで2着。
過去の実績も上位で、外枠でも先行押し切りが狙えると見ます。

セイカメテオポリスは後方から行くタイプなので、外枠でも問題なし。
月曜日に佐賀で重賞を制した吉原寛人騎手の技術に期待します。

マルカンラニは鞍上の松崎正泰騎手が、今年の全3勝、昨年の全4勝がマルカンラニとのコンビ。
2021年の勝島王冠で12番人気のアングライフェンで3着に入った、それ以上の着順が狙えるかも?
という期待を込めて、マルカンラニは単勝も買ってみます!


プロフィール

プロフィール

浅野 靖典

1969年8月1日生まれ

1998年にグリーンチャンネル「中央競馬中継」のキャスターから競馬関係のキャリアをスタート。
現在は各種媒体に原稿を寄稿し、競馬関係のメディアにも出演。
青森、九州のセリ市場の司会進行役も担当している。
ときどきグリーンチャンネルの番組「競馬ワンダラー」で、ワゴン車の運転手として全国を放浪。
各地の地方競馬場には1~2年に一度以上は訪問している。

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