2024 Dirt Triple Crown

2023.11.3 門別1,800mJBC2歳優駿(JpnⅢ)【1着馬】全日本2歳優駿 出走権付与
【上位1頭】雲取賞or京浜盃 指定競走

2022年優勝馬 ゴライコウ

2022年優勝馬 ゴライコウ

2歳&3歳ダート体系図

2歳&3歳ダート体系図~

JBC2歳優駿とは

今年のJBCは大井競馬場と門別競馬場による2場開催。

門別競馬場で行われるJBCは「JBC2歳優駿(Jpn3)」!
当地の2歳戦はレベルが高く、番組も非常に充実しているだけに、2歳カテゴリーのJBCを開催するのにふさわしい舞台だ。

2019年まで実施されていた「北海道2歳優駿(Jpn3)」の対戦成績は、JRA勢12勝に対して地方勢は11勝、
「JBC2歳優駿」創設後もJRA勢2勝、地方勢1勝と互角の勝負を繰り広げている。
ダートグレード競走では数少ない"地方馬が活躍するレース"であり、ホッカイドウ競馬のレベルの高さがお分かり頂けるだろう。

当日は大井競馬場で行われる「JBCレディスクラシック(Jpn1)」「JBCスプリント(Jpn1)」「JBCクラシック(Jpn1)」と合わせて、
2歳カテゴリーのチャンピオンホース誕生にぜひご注目頂きたい。

なお、「JBC2歳優駿」はダート競馬の体系整備に伴い、2024年春の「雲取賞(Jpn3)」及び「京浜盃(Jpn2)」の指定競走となっている。
この指定競走における上位1頭(地方所属馬)は「雲取賞」または「京浜盃」出走馬の選定にあたり、その成績を重視されることになる。

有力馬紹介

参考レース

JBC2歳優駿レース回顧(文:競馬ブック・板垣祐介)

このレースがJBC競走の仲間入りを果たして今年で4年目となるが、
前身である北海道2歳優駿の時代から地元勢とJRA勢は互角の戦いを繰り広げてきた。
その年によってそれぞれの勢力のレベルに多少の違いはあれ、レース経験値と早期の仕上げによる完成度を武器にする前者(北海道所属馬)と、 馬体が持つ絶対的な筋肉量の多さから来る素質を武器にする後者でトータルの戦力はイーブンということである。
つまり、勝敗は実際のレースのなかでどちらの武器が有効に働いたかによって決まるわけだ。

今回参戦してきたJRA勢の、特に上位人気に推されたフォーエバーヤング、サンライズジパング、エストレヤデベレンの3頭は、
いずれもまだ緩さを多く残す大型馬であった。
ゆえに、グリップが利きづらい=滑りが生じやすい今年の白砂への対応も課題としてあったのだが、
結果的に未完成さというウィークポイントを出さずにレースできたのが勝ったフォーエバーヤングだった。

レース回顧

写真:ホッカイドウ競馬提供

行き脚がつかず腹を括って後方からのレースを選択したことが、却って筋持久力が未熟な体にとって無理のない走りにつながり、
かつ、先行・好位集団がひしめき合って消耗戦を作り出したことで展開的にも正解だった。
つまりこの馬場、今日の展開で最も効率のいい走りをしたのがこの馬ということである。
五分のスタートで流れに乗っていたら結果は違ったかもしれない。

内容的には流れに乗ったうえで渋太く踏ん張った2着サンライズジパングの方がより高い評価ができ、
決着タイムの優秀さも踏まえると今年はJRA勢がポテンシャルという武器で押し切った結果と言える。

それでは、地元馬の走りを振り返ろう。
地元勢のエースという立場だったパッションクライは、端的に言えば正攻法での真っ向勝負が裏目に出てしまった格好である。
逃げ馬を厳しくマークする2,3番手の追走から4コーナー先頭へというレース運びは快勝した前走のサンライズCとまったく同じである。
ただ、当時が手元の時計で前半3F37秒6、1,000m通過が63秒3だったのに対し今回は前半3F37秒0、1,000m通過が61秒7。
3Fの数字は看過できる範囲としても今回は向正面でも12秒台前半のラップが刻まれており、いかに息の入らないペースだったかが分かる。
どこかで一呼吸置くポイントが作れていればと思うが、これが勝手知ったる地元馬同士、地元騎手同士のレースとは違う他流試合の難しいところである。 今日の経験は必ずや先々に生きてくるはずだ。

ブラックバトラーに関しては、立ち遅れに近い大出遅れがすべてで半分以上レースに参加できなかった。
サンライズCの回顧でも触れたようにこの馬は体質が弱く、目一杯に調教で攻められない面があり、 パドックでの気負いを見ても分かるように、
メンタルにも不安定さを色濃く残している。今日の出遅れはそのメンタル由来のものだろうが、 肉体面に関して言えば本来なら地元馬にあるはずの完成度という武器がこの馬に限ってはなかった。
それでも先行勢に苦しい展開だったとはいえ、正味ラスト600mほどの競馬で猛烈に伸びて3着に浮上した脚力はこの馬の秘めたものの大きさを物語っている。気性が成長し、馬体がボリュームアップした暁には全国でも世代トップクラスの馬へと変貌する可能性がある。

サンライズCでパッション、ブラックに続く3着だったダバイエスペランサは現状で走破可能なタイムに少し壁があったように映る。
デビューから叩き上げで力をつけてきたタフな馬であり、先々もコンスタントな活躍が見込めるだろう。

今現在分かっている範囲でパッションクライ、ブラックバトラーは来年度もホッカイドウ競馬に在籍するとのこと。
特に後者に関しては全国への挑戦に積極的なオーナーでもあり、新設されたダート三冠競走への挑戦が期待される。

そこで最後に少し、「全日本的なダート競走の体系整備」について所感を述べておきたい。
その目玉であるダート三冠に関しては、もちろん全国から参戦する間口はあるが、
ステップレースも含めた開催場の偏りからも、南関4場とJRAが主体という印象が強い。
南関東を除いた全国地方競馬場それぞれの3歳三冠競走は残るわけで、それらの価値は大切にしたい。

南関東以外では、短距離路線の「ネクストスター」競走が改革の主軸ということになる。
これを目標に2歳入厩馬の質が上がることは、地方競馬全体のレベルの底上げという意味で一定の効果があるだろう。

この本来の目的と同時に、全国の競馬場にスポットが当たることにより新規の地方競馬ファンが増えてくれることを期待したい。
中央競馬と違ってそれぞれ主催者が異なる地方競馬場は、おのおの独自の「色」が命である。
これを機に、その個性を売り出すための構想が、更に進められてもいいと筆者は思う。

レース概要

実施日 11/3(金祝)
競馬場 門別競馬場
距離 1,800m
出走条件 サラ系2歳
負担重量 牡馬 55kg 牝馬 54kg
優先出走権 1着の地方所属馬に「全日本2歳優駿(Jpn1)」の優先出走権付与
上位1頭の地方所属馬は「雲取賞」または「京浜盃」出走馬の選定にあたり、その成績を重視される