2025 Dirt Triple Crown
2024.12.11 川崎 1,600m全日本2歳優駿(JpnI)
2023年優勝馬 フォーエバーヤング号
Road to 全日本2歳優駿
全日本2歳優駿とは
「第75回全日本2歳優駿(JpnI)」
南関東の2歳馬にとっては大目標となるレースであり、日本の2歳ダートチャンピオンが決まる一戦。
そして、夢は大きく、世界へと繋がるビッグレースだ。
~ケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズ~
『JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY』
2017年から全日本2歳優駿が「ケンタッキーダービー出走馬選定ポイントシリーズ」に組み込まれ、
全日本2歳優駿出走馬には、翌年の「ケンタッキーダービー(USA・GI)」に出走するチャンスが広がった。
これにより、全日本2歳優駿に対する注目度は今まで以上に増したといってもいいだろう。
昨年の全日本2歳優駿優勝馬フォーエバーヤングは、
「サウジダービー(サウジアラビア・GIII)」「UAEダービー(UAE・GII)」を連勝してケンタッキーダービーに参戦。
結果は僅差の3着に惜敗したが、川崎が世界に繋がっていることを見事に証明してみせた。
なお、全日本2歳優駿は1997年に交流戦になって以降、JRA20勝に対して地方勢は7勝。
地方勢の優勝馬は…
2000年トーシンブリザード
2001年プリンシパルリバー
2006年フリオーソ
2009年ラブミーチャン
2013年ハッピースプリント
2019年ヴァケーション
2020年アランバローズ
"超"がつく大物たちが制してきた歴史があり、ここを勝つとその後の活躍が非常に楽しみになってくる。
12月11日は川崎競馬場から目が離せない!
過去5年ダイジェスト(2019年~2023年)
予想<日刊競馬・佐藤匠>
◎ナチュラルライズ
全日本2歳優駿同様、JAPAN ROAD TO THE KENTUCKY DERBY構成競走となっているカトレアS。
20年にはレモンポップ、昨年は羽田盃馬アマンテビアンコが制すなど
登竜門的な立ち位置を確立しつつある同競走をステップに、2戦2勝と底を見せずにここへと参戦となった。
今回と同じ一周競馬で行われた7月札幌での新馬戦も翌日行われた2勝クラス特別を上回る好時計で制しており、
コーナーで開いた内をついて抜けてきた操作性含め、当時から一貫した完成度の高さは見せてきた。
トリッキーな川崎マイル戦だけに、器用さのアドバンテージは大きい。
○ミリアッドラヴ
新馬戦を同日古馬1勝クラスと並ぶ好時計V。
1/2馬身差下した2着馬も次走で勝ちあがりとハイレベルな接戦を演じ、返す刀で臨んだエーデルワイス賞も完勝。
こちらも2戦2勝のキャリアで大一番を迎える。
過去の牝馬による優勝馬はグレイスティアラ、リエノテソーロ、ラブミーチャン、サマリーズなどが存在するが、
前2者はエーデルワイス賞を制しており、後ろ2者はダート無敗といずれも同馬と重なる戦歴があった。
初の一周競馬にマイル戦とスピード馬が越えねばならない課題も多いが、牝馬でもポテンシャルは十分通用するとみた。
▲グランジョルノ
2歳新種牡馬、ゴールドドリームの産駒。
母ヴィータアレグリアも16年にマリーンCを制したダートグレード勝ち馬という良血馬。
新馬戦は外めを回しながら直線一気の滑るような走りが印象的で、
JBC2歳優駿は勝ち馬ソルジャーフィルドに一気に突き放されて現状の差を見せつけられつつもしぶとく2着を確保した進境は認めるところ。
揉まれた経験がないことは不安だが、あか抜けた馬体からはそれを差し引いても押し切って驚けない元値の高さは感じさせる。
以降はなかなか差のある印象。
△コパノヴィンセント
2歳ダートにおけるひとつの王道といえるプラタナス賞、兵庫ジュニアGPを連続2着しての参戦となるが、
その前走はJRA2勝馬がたった1頭のメンバー構成で、例年しっかりJRA2勝馬が勝ち切ってきたレースだけにやや手薄な出走馬たちだったこともまた確か。
ただし、そこで初の逃げとなったことに戸惑わなかったところは評価できるし、自在性を示していることは好材料といえる。
△ホーリーグレイル
門別2・9着の成績から川崎へトレード。
以後後続に3秒1差、2秒1差と圧巻の競馬を続け、意欲的にここへと参戦してきた。
地元川崎所属ながら調整は今年の川崎記念馬ライトウォーリアなどを手掛けている認定厩舎・ミッドウェイFでなされており、
前走しっかり9キロ馬体を増やしてきたのもその水があった証拠といえそうだ。
左回り川崎で走りが一変したことは間違いなく、前開催1,500m1分36秒0はおおむね初日B1B2戦の2着相当。
越えねばならない壁は高くとも、今回は日本一の名手ともいっていい吉原騎手を確保。
不気味な存在であることは疑うべくもない。
△ソルジャーフィルド
生涯〔4300〕と連対パーフェクト。
ここまで3度の敗戦は重賞3勝馬ゼロアワー、重賞2勝馬リコースパロー相手と悲観するような敗戦がない強みはある。
5人気で迎えたJBC2歳優駿では地の利も生かして外から豪快に抜けきった走りは認めるが
今回が初のアウェー戦となるあたりハードルもあり、今回はこの評価となった。
△ハッピーマン
昨年の2着馬イーグルノワール筆頭に兵庫ジュニアGP組は4年連続当レースの複勝圏内にも好走。
それを制しているだけにローテーションからの信頼度は高い。
ただ、前掲コパノの項でも記したようにメンバーが手薄だったのも確か。
それでも道中イン、直線半ばから前を交わすためにアウトへと動いて…
と兵庫ジュニアGPで見せた高い操作性は、日本指折りのトリッキーな川崎コースでこそ生きてきそうな印象もある。
地方一周競馬を経験した利も含めれば圏内は十分か。
有力馬紹介
●ソルジャーフィルド
父ルヴァンスレーヴ
母アイルゴーバック(母父アッミラーレ)
通算成績:7戦4勝
デビューから7戦4勝、連対率100%を誇る北海道所属馬。
地元馬として4年ぶりに「JBC2歳優駿(門別・JpnIII)」を制した素質馬だ。
ソルジャーフィルドの持ち味は強靭な末脚。
「ブリーダーズゴールドジュニアカップ(門別・H2)」「サンライズカップ(門別・H1)」と2着に甘んじたが、
ダートグレード競走の速い流れの中で末脚が最大限に生かされたと言って良いだろう。
父ルヴァンスレーヴの初年度産駒から生まれた主役候補生。
2025年は北海道3歳三冠路線を歩む談話も出ているが、2歳ダートチャンピオンを手中に収められれば夢は広がるところだ。
●ウィルオレオール
父レッドベルジュール
母カゼノボレロ(母父フサイチコンコルド)
通算成績:6戦3勝
ホッカイドウ競馬のデビュー戦、オープン特別を勝利。
出世レースとしても知られる重賞「栄冠賞(門別・H2)」でも2着に好走している。
前走の「平和賞(SII)」は北海道からの長距離遠征を感じさせない走りで南関東勢を一蹴。
再度の長距離遠征でも不安はないだろう。
JRA札幌の「クローバー賞(芝OP)」では5着に敗れたが、主戦場のダートで改めてJRA勢に挑戦となる。
●ナチュラルライズ
父キズナ
母レディマドンナ(母父Distorted Humor)
通算成績:2戦2勝
7月のデビュー戦で2着馬に6馬身差、さらに3着馬には大差をつけて快勝。
そこから4か月のブランクを挟んだ「カトレアステークス(JRA・OP)」も勝利してデビュー2連勝とした。
とりわけ、カトレアステークスは素質馬が揃いも揃ったハイレベルのレース。
芝スタートでやや後手を踏んだものの、余裕たっぷりの競馬であっさりと勝利を掴んでいる。
「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」
全日本2歳優駿と同じくケンタッキーダービーの選定レースに指定されているカトレアステークス。
そのカトレアステークスを勝利したナチュラルライズが現時点で世界に最も近い日本馬と言っても良いだろう。
父キズナはJRAリーディングサイヤーの2歳&全馬のトップを走っている。
●ハッピーマン
父ダノンレジェンド
母ベルミュール(母父キングカメハメハ)
通算成績:3戦2勝
11月の「兵庫ジュニアグランプリ(園田・JpnII)」を快勝した実績馬。
園田コースの中団内から一気に突き抜けたレースぶりを見る限り、地方コースの適正も十分と言えそうだ。
デビュー戦では後に1,000mの2歳レコードを叩き出すアメリカンビキニを差し切って優勝。
「BCジュベナイルフィリーズ(米・GI)」に矛先を向けた期待馬に勝利した実力は世代屈指の存在だろう。
鞍上の坂井瑠星騎手は連覇のかかる一戦。
●ミリアッドラヴ
父ニューイヤーズデイ
母レディバード(母父スマートファルコン)
通算成績:2戦2勝
デビュー2連勝で「エーデルワイス賞(門別・JpnIII)」を勝利。
8枠2頭が牝馬となるが、過去にはリエノテソーロやラブミーチャンなどの牝馬が勝利を手にしている。
母レディバードの半姉ワンミリオンスは「エンプレス杯(JpnII)」など、ダートグレード競走2勝の実績。
初距離は課題となるが、血統背景と臨戦態勢的には侮れない1頭となりそうだ。
●ホーリーグレイル
父ナダル
母ホーリーレジェンド(母父アイルハヴアナザー)
通算成績:4戦2勝
地元川崎、ひいては南関東から唯一の参戦となる牝馬。
ホッカイドウ競馬では勝ち星を手にできなかったが、川崎移籍後はワンサイドの2連勝と馬が変わった印象を受ける。
父はJRAの2歳ダートを席巻しているナダル。
南関東での産駒数は多くないものの、ホーリーグレイルの2勝とマジシャンガール(大井)が1勝を挙げている。
参考レース
-
- 10/9
- 川崎
- 1,600m
- 鎌倉記念(SII)
- ベアバッキューン
-
- 10/30
- 船橋
- 1,600m
- 平和賞(SII)
- ウィルオレオール
-
- 11/4
- 門別
- 1,800m
- JBC2歳優駿(JpnIII)
- ソルジャーフィルド
-
- 11/6
- 大井
- 1,600m
- ハイセイコー記念(SI)
- スマイルマンボ
-
- 11/21
- 園田
- 1,400m
- 兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)
- ハッピーマン
レース回顧
レース概要
実施日 | 12/11(水) |
競馬場 | 川崎競馬場 |
距離 | 1,600m |
出走条件 | サラ系2歳 |
負担重量 | 牡馬56kg 牝馬55kg |
優先出走権 | なし |