2025 Dirt Triple Crown
2025.5.19 大井 2,000m東京ダービーチャレンジ 【1着馬】東京ダービー 指定競走

2024年優勝馬 イモノソーダワリデ号(特別区競馬組合提供)
Road to 東京ダービー

東京ダービーチャレンジとは
大井2,000mで争われる「東京ダービーチャレンジ」。
かつては「東京ダービー(旧SI)」の優先出走権が付与されていたが、
3歳ダート三冠が創設された2024年からは東京ダービーの“指定競走”という役割を担っている。
“指定競走”とは「出走馬の選定にあたりその成績を重視する」もので、
「東京ダービーチャレンジ」1着馬がその該当馬に指定される。
過去に「東京ダービーチャレンジ」の勝ち馬が「東京ダービー」を勝利した実績はないものの、
2023年にはナンセイホワイトが東京ダービーで3着に好走。
東京ダービーと同舞台で行われるトライアルだけに注目度は高いレースと言えるだろう。
予想<日刊競馬・市川俊吾>
東京ダービーへの最終切符をかけた1戦、東京ダービーチャレンジ。
先日行われた羽田盃では、JRAのナチュラルライズが2着に5馬身差をつける圧勝で2025年の3歳ダート3冠の初戦を制した。
今年もJRA勢の牙城を崩すのは簡単ではないが、2着に奮起したのは大井所属のナイトオブファイア。
勝ち馬には離されたが3着のジャナドリアには6馬身差をつけた。
スマイルマンボも4着と好走し地方所属馬も意地を見せてくれただけに、
このレースからも東京ダービーを沸かせてくれる新星の誕生の期待が高まる。
◎ドナギニー
休み明けで挑んだ前走の東京プリンセス賞。
人気こそなかったが後方から良く伸び3着と好走し大波乱を演出したドナギニー。
「追い切りは動けていたものの、正直まだ馬体の張りなど本調子に比べて物足りなさもあり、
前走は半信半疑だったが、改めてこの馬の地力を再認識させてくれた。
今回の最終追い切りは素晴らしい動きで、叩いて上積みはかなり大きいと思う。
距離延長も全く苦にしないタイプで、あとは牡馬との力関係だけ」
と管理する中道調教師も前走以上の状態に手応えを感じている様子。
二走ボケさえなければ好勝負になるはずだ。
○ヤギリケハヤ
遅い流れだったが終わってみれば差し、追い込み決着と少し特殊な競馬だったクラウンC。
トライアルを勝利し1番人気に推されていたヤギリケハヤだったが向こう正面でプローラーティオーがまくってきたことで
内の窮屈なところに押し込められて動くに動けない形になってしまい、消化不良の1戦だった。
遠征経験は豊富で大井コースは問題なさそう。
あとは初めての右回りさえこなせればここまでの戦績からも勝ち負けは濃厚だろう。
東京ダービーへ向け落とせない一戦。
▲マウンテンローレル
デビューから5戦3勝、2月に復帰後はマイル戦に矛先を変えて現在2連勝中と勢いは十分。
今回2,000mに距離は伸びるが、兄2頭はダートの長丁場で勝利しているようにスタミナ豊富な牝系で、
むしろ距離延長が更に追い風になる可能性は十分。持ち味の鋭い決め手は外回り向きで連勝を伸ばせるか注目だ。
△パルミジャニーノ
2連勝で臨んだクラシックチャレンジでは人気を落としていたが3着に好走。
「脚の使い所が難しいタイプではありますが、現状前走のような競馬があっていると思うので再度外回りはいいと思います。
折り合いもつくタイプで距離もこなせると思いますし、1戦毎に力をつけているだけに今回も楽しみにしています」と安藤騎手。
近走の安定感ある走りはこのメンバーでも魅力だ。
△スルガダイナゴン
デビューから未だ未勝利ではあるが、近2戦も強敵相手に健闘。
キレる脚があるタイプではないので、スタートを決めて前々でしぶとさを活かす形が理想だろう。
相手なりに走れるタイプだけにここ一連の内容から今回も当然注意が必要だ。
△ナンパセン
道営から転入後3着が最高とやや物足りなさはあるが、
道営在籍時には1,700mで勝利していてその時の2着は大井に転入後2連勝、ネクストスター東日本2着のフィエレッツァ。
近走は1,400mを中心に使われているが一気の距離延長がプラスに転じる可能性は大いにある。
新コンビに若武者野畑騎手を迎えて一発を狙う。
有力馬紹介
●ヤギリケハヤ
父ディーマジェスティ
母キマグレ(母父サクラバクシンオー)
通算成績:8戦4勝
準重賞勝ちを含めて4勝、前走「クラウンカップ(SIII)」では3着に好走している。
大井所属馬10頭を相手に船橋から唯一の参戦となるが、実績では頭一つ抜けた存在で斤量57kgを背負う。
2025年の張田昂騎手はすでに重賞5勝をマーク。
先週(5/15)の「オグリキャップ記念(笠松)」ではムエックスを勝利に導いている。
父でもある張田京調教師の管理馬で東京ダービーに向かいたいところだ。
●ドナギニー
父ラブリーデイ
母ポッドジゼル(母父ゴールドアリュール)
通算成績:6戦2勝
「東京プリンセス賞(SI)」3着馬の参戦。
同レースでは9番人気の伏兵評価ではあったが、先行勢総崩れの中を鋭く差し込んできた。
デビュー2連勝の素質馬で昨年末の「東京2歳優駿牝馬(SI)」では3番人気に推された同馬。
久しぶりの牡馬混合戦で相手関係には注目したいところだが、“牝馬の東京ダービー参戦”も大いに期待できそう。
●パルミジャニーノ
父パイロ
母マニエリスム(母父ゼンノロブロイ)
通算成績:9戦3勝
レベルの高いホッカイドウ競馬出身。
南関東移籍後は4戦2勝、2着1回、3着1回で、前走「クラシックチャレンジ(OP)」では最後方から3着に追い込んだ。
自在に走れるレースセンスがあり、前走の末脚を見れば直線の長い外回りコース+距離延長はプラスとなっても良いだろう。
母マニエリスムは2011年の「東京プリンセス賞」など、大井コース5勝の実績を誇る。
●ナンパセン
父アドミラブル
母キーチケット(母父ダンカーク)
通算成績:11戦3勝
ホッカイドウ競馬でのデビュー戦を圧勝。
さらにはオープン特別2勝と当地での活躍は目を見張るところ。
南関東では4戦未勝利と波に乗れていないが、前走は能力の片鱗を見せるような末脚を披露している。
半兄は現在の浦和を代表するアウストロではあるが、兄が14着に敗れた「旧東京ダービートライアル」で結果を残せるだろうか。
参考レース
-
- 3/26
- 大井
- 1,700m
- 京浜盃(JpnII)
- ナチュラルライズ
-
- 4/8
- 川崎
- 1,600m
- クラウンカップ(SIII)
- ミーヴァトン
-
- 4/29
- 大井
- 1,800m
- 羽田盃(JpnI)
- ナチュラルライズ
-
- 5/8
- 船橋
- 1,700m
- 東京湾カップ(SII)
- ケンシレインボー
レース回顧<高橋華代子>
5月19日の大井競馬場で東京ダービー指定競走の東京ダービーチャレンジが行われました。
地元馬10頭、船橋からの遠征馬1頭の計11頭が熱戦を展開。
矢野貴之騎手が手綱を取ったマウンテンローレル(大井・福田真広厩舎<小林分厩舎>)が1番人気に応えて3連勝を飾りました。
道中は外目の3番手を追走。最後は直線で抜け出し、後続馬の追撃を振り切りました。
勝ちタイムは2,000m2分8秒0(重)。
2着は中団から脚を伸ばして半馬身差まで詰め寄ったドナギニー。
3着は2番手追走から直線で一瞬先頭に立って見せ場を作ったスルガダイナゴンでした。
矢野騎手は「スタートがあまり良くないので出負けはしましたが、3番手につけられました。
展開は良かったし、いい走りをしてくれて頑張っています」とコメント。
1,600mから2,000mの距離を克服したことは
「勝負どころで少しもたつくようなところはありましたが、
しまいはしっかりしているので、距離が延びてもちゃんと脚は使えています」と褒めていました。
マウンテンローレルは父ヘニーヒューズ、母ハマナス、母の父キングカメハメハという血統の3歳牡馬。
昨年10月に大井からデビューし、ここまで6戦4勝2着&3着1回ずつと安定した走りが続いています。
福田調教師は「体が固まらずに成長がスローなので、秋デビューになりました。
2戦目の後に休養を入れてから、馬がグンと良くなってくれました。
課題だった操縦性も良化していますが、まだ体の弱いところもあるので、古馬になって本格化する馬。
今でもこれだけ走れているので、来年はもっと良くなると思います」と期待を寄せていました。

厩舎でのマウンテンローレルその1
(福田真広調教師提供)
具体的なローテーションは現段階では未定とのこと。
福田厩舎には、4月のクラシックチャレンジを制したヴァンディヴェールもいます。
また楽しみな3歳馬が登場しましたね。
なお、厩舎にいる時のマウンテンローレルについて
「ヘニーヒューズ産駒はカリカリしているイメージですが、この馬も普段から元気はありますが、レースに行けば平常心です。
馬房ではつるしてあるジョリーボールと遊ぶことが好きですね。噛んだり立ち上がったりして、いつも戦っていますよ(笑)」と愛らしい一面もあるそうです。

厩舎でのマウンテンローレルその2
(福田真広調教師提供)
2着のドナギニーは東京プリンセス賞3着馬。
牝馬ながら牡馬に果敢に立ち向かい、僅差の走りを見せました。
中道啓二調教師は「男馬相手にペースもスローでしたが、よく後ろから脚を使ってくれました。
まだ素質で走っているようなところがあって、芯が入ってくれば、もっと良くなると思っています。
折り合いもつくので距離もこなしてくれているし、広いコースの方がいいタイプ。
ここまで本当に頑張っているし、どこかで重賞を取らせてあげたいですね」と力を込めました。
母のポッドジゼルも南関東の重賞戦線で戦ったゆかりの馬。
惜しくもタイトルは取ることができなかった母の夢を、娘が叶えることができるのか。
そういうロマンを追い続けるのも、競馬の魅力ですね!
<他陣営のコメント>
3着 スルガダイナゴン 御神本訓史騎手
「未勝利馬ですが、これだけの接戦に持ち込んで頑張ってくれました。
距離が延びても、いい感じに運べています。
2歳で乗せてもらった時に、固まってくればもっと良くなりそうだなと思いました。
その時よりも馬は成長しています」
4着 グリークトレジャー 和田譲治騎手
「最初は遅かったですが徐々に流しながらで、自分のペースで進めていけました。
最後も馬が来たらしぶとく反応して頑張ってくれたと思います」
5着 パルミジャニーノ 安藤洋一騎手
「ちょっとペースが遅かったので、上がり勝負になると分が悪かったです。
ポジションは理想的な位置を取ることができて、道中もいい感じでした。
砂も我慢をしてくれて、成長はしていますね。展開が変われば」

ゴール前(特別区競馬組合提供)
レース概要
実施日 | 5/19(月) |
競馬場 | 大井競馬場 |
距離 | 2,000m |
出走条件 | サラ系3歳 |
負担重量 | 格付馬57kg 未格付馬56kg 牝馬2kg減 |
優先出走権 | 1着馬は「東京ダービー(JpnI)」出走馬の選定にあたり、その成績を重視される |