2026 Dirt Triple Crown
2025.11.3 門別 1,800mJBC2歳優駿(JpnIII)【1着馬】全日本2歳優駿 出走権付与(地方所属馬)【上位1頭】雲取賞or京浜盃 指定競走(地方所属馬)

2024年優勝馬 ソルジャーフィルド号
Road to 3歳ダート三冠

JBC2歳優駿とは
今年のJBCは船橋競馬場と門別競馬場による2場開催。
門別競馬場で行われるJBCは「JBC2歳優駿(JpnIII)」!
当地の2歳戦はレベルが高く、番組も非常に充実しているだけに、2歳カテゴリーのJBCを開催するのにふさわしい舞台だ。
2019年まで実施されていた「北海道2歳優駿(JpnIII)」の対戦成績は、JRA勢12勝に対して地方勢は11勝、
「JBC2歳優駿」創設後もJRA勢3勝、地方勢2勝と互角の勝負を繰り広げている。
ダートグレード競走では数少ない"地方馬が活躍するレース"であり、ホッカイドウ競馬のレベルの高さがお分かり頂けるだろう。
当日は船橋競馬場で行われる「JBCレディスクラシック(JpnI)」「JBCスプリント(JpnI)」「JBCクラシック(JpnI)」と合わせて、
2歳カテゴリーのチャンピオンホース誕生にぜひご注目頂きたい。
なお、「JBC2歳優駿」は「全日本2歳優駿(JpnI)」のトライアルであるとともに、
翌年春の「雲取賞(JpnIII)」及び「京浜盃(JpnII)」の指定競走となっている。
この指定競走における上位1頭(地方所属馬)は「雲取賞」または「京浜盃」出走馬の選定にあたり、その成績を重視されることになる。
予想<競馬ブック・板垣祐介>
◎エンドレスソロウ
デビューから3戦3勝でサンライズカップを勝利し、この路線の主役に躍り出た。
ここまでの3戦すべて着差の小さい勝利であり、決して派手な勝ち方をしているわけではないが、
何より競馬が上手で、1戦目、2戦目で示した競り合いでの勝負強さも特筆もの。
上がり3ハロン41秒2までかかるタフな流れを2番手から抜け出したサンライズカップは、非凡な心肺機能も裏付けている。
そのサンライズカップはタイム的に目立つものではないが、
想定以上に早いタイミングで抜け出したために、馬自身がそこで満足したきらいがある。
実際、4角の楽な手応えに反して、抜け出してからの鞍上のアクションは激しかった。
おそらく馬の気を抜かせないためだろう。
個人的な見解だが、もっと渋太くゴールまで引っ張ってくれる、
あるいは並走できる相手がいれば、その分だけこの馬も伸びてタイムも詰められるのではなかろうか。
端的にまとめれば、これまでの着差以上に余力があるはずだということである。
相手が強くなるほどパフォーマンスを上げる可能性を秘めている馬だと思う。
◯シーズザスローン
芝でも勝ち上がれるレベルの走りはしていたが、ダートに替えた前走での楽勝を見ると、ダートにも適性があったということ、
ないしイーブンペース型の良さがダートでより発揮されたということだろう。
その前走は9頭立ての少頭数でペースも遅く、2番手で楽に運べたというのは確かだが、
抜け出してからは軽く促す程度で余裕が十分にあったから、タイム以上の評価をしていいだろう。
芝・ダート兼用のタイプは、門別の白砂にもフィットしやすい。
課題とすれば、例年のような締まった流れへの対応と、1番枠で砂を被る形になった場合の対処ということになる。
V圏内の1頭であることは確かだ。
▲スターシップ
差し・追い込みの術を会得していることは、JRA勢が加わって展開が激しくなる本番で大いに役に立つ。
地元戦では流れが落ち着きすぎて勝ち切れなかったソルジャーフィルドも、本番で躍進した。
2走前のオープン戦、前走のサンライズカップともに差し届かずの2着だったこの馬も、状況は似ている。
ただ、今年のサンライズカップはかなり上がりがかかり、この馬にとって理想的な流れだったから、
前で粘ったエンドレスソロウには完敗の形である。
JRA勢を含めた先行馬たちがより激しい争いを繰り広げた場合に、チャンスが生まれそうだ。
△ジュウリョクピエロ
△アヤサンジョウタロ
△タマモフリージア
ジュウリョクピエロ、タマモフリージアはともにJRAで新馬勝ちを収め、今回が2戦目となる。
前者はデビュー前の調教で帝王賞馬キングズソードに先着するなど目立つ動きをしていたようだから、
新馬戦は調教通りのパフォーマンスだったと言えよう。
この中間も調教は水準以上に動けている。
後者は8番人気を覆しての勝利で、実戦で良さが出た格好だ。
追われてからの反応の良さが評価の対象である。
ただ、JRA勢には毎年言えることだが、キャリアの浅さはひとつのリスクになる。
両者とも、馬群の外をスムーズに立ち回っての勝利だったから、
同じレベルの能力がある馬同士の争いで、プランBの運びが要求された時の対応は課題となるだろう。
一方で、地元のアヤサンジョウタロは早期デビューから着実にキャリアを重ねてきた。
もともと後手に回るケースが多かった馬だが、中距離2戦目だったサンライズカップでは、
好位集団の中で流れに乗る競馬でも好走できた。
この経験は必ずや今回につながるはずである。
ダートJpn1プレビュー
参考レース
-
- 6/24
- 門別
- 1,200m
- 栄冠賞(H2)
- ベストグリーン
-
- 8/21
- 門別
- 1,700m
- ブリーダーズゴールドジュニアカップ(H2)
- ベストグリーン
-
- 10/1
- 門別
- 1,800m
- サンライズカップ(H1)
- エンドレスソロウ
レース回顧<競馬ブック・板垣祐介記者>
中間に降った雨の影響が残り、馬場状態の発表は終日「重」であったが、決してタイムが出やすい馬場ではなかった。
サンライズカップの回顧でも触れたが、馬場状態の発表とタイムの出方が連動しないのが、門別の白砂の特徴である。
もちろん、その日によってタイム水準に多少のバラつきはあるが、
極端な不良馬場を除き、時計の比較をするのに馬場状態の差を考慮する必要はない。
さて、今年の決着タイムは1分55秒5。
白砂に替わってからのここ2年が1分54秒3(フォーエバーヤング)、1分54秒5(ソルジャーフィルド)だから、決着タイムはやや遅めだ。
決してペースが遅かったわけではなく、前半3ハロンは手元の時計で37秒2、1,000m通過は62秒5だから、
ここ2年と同じくらいのハイペースである。
今年の特徴は、先行勢が上位に残ったこと、そして1着から4着までがわずかコンマ1秒差に接近して入線したということだ。
決着タイムと合わせて考えると、今年はかなり実力が拮抗したメンバー構成だったと言えるだろう。
では、以下で各馬の立ち回りとポイントを、レースの全体像と照らしながら振り返っていこう。
ハナを切ったのは、1番枠を引いたシーズザスローン。揉まれ込むのを避けるための最善策を取った形だろう。
1馬身差の2番手に続いたのがフルールドール。
エンドレスソロウ、トレモロの8枠2頭もポジションを取りに行ったため、
1角の入りまでは先行争い激化の様相にも思えたが、外の2頭が引き、案外、すんなりと隊列は落ち着いた。
ポイントはその後である。
昨年は、向正面過ぎから先行・好位勢が入れ替わりながら進む激しい展開になったことで、直線で隊列の逆転現象が起きた。
一方今年は、1角過ぎに隊列が決まって以降、展開に動きのないまま4角の勝負どころまで進んでいった。
確かにペースは例年並に速いが、競り合いなく進んでおり、決してオーバーペースというわけではない。
上がりを要しながらも、先行2頭がそのまま上位に粘り込んだ理由はここにある。
展開によるストレスなく、凡そプラン通りの運びができたシーズザスローン、フルールドールの先行2頭は、
十分に力を出し切ったと見ていいだろう。
現時点で、門別の馬場で走れるタイムが1分55秒台だったということである。
それぞれ4着、2着だが、前述のように僅差だから、この2頭の評価はほぼ五分だ。
勝ったタマモフリージアだが、馬場入り直後に膠着したように立ち止まってしまい、
結果的に返し馬をできないまま、口を取られてゲート裏まで引かれることになった。
気性的に少し難しいところがあるのだろう、スタートも出遅れてしまった。
ただ、田口貫太騎手も勝利インタビューで述べていたように、
その後のリカバリーが早く、1~2角にはもう好位インの4番手に収まった。
外々を回ったデビュー戦と違って、終始砂を被る形だったが、それにも動じず、
4角で外に持ち出してから一完歩ずつしっかり伸びて差し切った。
正直に言えば、馬場入りの姿とレース中の真面目さのギャップには驚いた。
パドックで見た馬体の印象でも、中央馬5頭の中で最も緩さが残っていたから、もともとの運動神経がいいのだろう。
現時点での実力はほぼ五分だが、結構、伸びしろは大きいのではなかろうか。何とも意外性のある馬である。
牝馬の優勝は、前身の北海道2歳優駿時代を遡っても例が少なく、直近では2015年のタイニーダンサー以来である。
また、父ルヴァンスレーヴにとっては、産駒初年度の前年に続き連覇となった。
種牡馬としての価値は高まる一方だろう。

第6回JBC2歳優駿(JpnIII)優勝馬タマモフリージア号
(がんばれ!ホッカイドウ競馬提供)
僅差の上位4頭の中で、最もスムーズに運べなかったのが、3着のアヤサンジョウタロだ。
スタートで隣の馬に寄られて少しバランスを崩し、1~2角では前に入られて頭を上げるシーンがあった。
直線では、外から先んじて前に出たタマモフリージアの更に外へ切り返さざるを得ない格好にもなっている。
それぞれ単体では決して致命的なレベルの不利ではないのだが、
コンマ1秒の勝負を考えると、小さなロスの重なりが勝敗を分けたようにも思える。
もちろん、4角から直線での攻防に関しては瞬発力の差が出た結果でもあるから、
勝っていた可能性が高いとまで言うつもりはない。
ただ、惜しい競馬だったことは確かだ。
デビュー戦を勝って以降、後手に回って器用さを欠いていたことを思えば、
前走、そして今日のレースぶりには地力強化を伴う明らかな成長の跡が見て取れる。
これなら自信を持って全国で戦っていけるだろう。心肺機能も大分、鍛えられたようだから、距離も幅広くこなせそうである。
実績的に今回の地元大将格であったエンドレスソロウは、4着から2馬身離された5着となった。
外枠を引いて揉まれる心配は少なかったが、自分より内のJRA勢にこぞって前に出られては、ポジションを悪くする懸念がある。
意識的に前へ出ていったのはそのためだろう。
前2頭を見ながらの外3番手は理想的な位置取りだったはずで、道中の立ち回りは、サンライズカップをそのままなぞるようだった。
ペースは当時より1秒ほど速かったが、手応えはあり、3角で少し気合をつけてジワッと仕掛けていったのも前走と同じ。
前走は、逃げ馬の失速に合わせてそのまま4角で先頭に並ぶことができたのだが、
今回先行した中央馬2頭には、まだ抵抗する余力があった。
結果的に、前を捕まえきれないまま、直線では逆に自身が後ろに捕まってしまった。
個人的には、相手が強くなればそれだけパフォーマンスを上げられると見ていたのだが、4着との2馬身差は決定的なものに映る。
自身も走破タイムは詰めているが、今回は力負けの形である。
もちろん、アヤサンジョウタロがそうだったように、この馬も、今日を含めたこの先のキャリアの中で強くなっていくはずだ。
移籍も含めて今後は未定だが、長く追いかけていきたい。
6着のスターシップに関しては、先行勢それぞれが理想のポジションを取って折り合ってしまったことで、
追い込みが嵌まるような展開にならなかったことがすべてである。
まだ自力でレースを動かしていくような機動力はないだけに、今日のところは仕方あるまい。
今後、もっとスタミナが生きる舞台で、輝く時が来るはずである。
レースの振り返りはここまでだが、最後に、敢えてベストグリーンの名前を挙げておく。
もしここに出ていたらどういう結果だったか、それは想像の範疇でしかないわけだが、
栄冠賞、ブリーダーズゴールドジュニアカップ、そして好メンバーが揃っていた鎌倉記念での圧勝から、
この世代の門別2歳トップのポテンシャルがあることは疑いようがない。
管理する田中淳司調教師が、あのハッピースプリントを引き合いに出して評するほどなのだから、期待値は相当なものだろう。
JRA勢とぶつかる次走の全日本2歳優駿でも、大いに存在感を示してくれることと思う。
レース概要
| 実施日 | 11/3(月祝) |
| 競馬場 | 門別競馬場 |
| 距離 | 1,800m |
| 出走条件 | サラ系2歳 |
| 負担重量 | 牡馬56kg 牝馬55kg |
| 優先出走権 | 1着の地方所属馬に「全日本2歳優駿(JpnI)」の優先出走権付与 上位1頭の地方所属馬は「雲取賞(JpnIII)」または「京浜盃(JpnII)」出走馬の選定にあたり、 その成績を重視される |


