
日本で一番長いダート重賞「金盃(S2)」
南関東のみならず、国内で行われるダート重賞では最も長い距離(2,600m)で争われる。
向こう正面からスタートし約1周半の攻防。
馬と騎手との折り合い、騎手同士の駆け引き、まさに人馬一体となる争いは見応え十分だ!
なお、金盃は2015年から距離が2,600m(旧2,000m)に変更されているため、一部の分析は2015年以降のデータとする。
※2020年現在、金沢の「北國王冠」と並んで最長距離
※第1回~第18回は2,400m、第19回~第58回は2,000m、第59回(2015年)以降は2,600m
▼データ分析のポイント
・騎手も馬も実績重視
・7歳以上の古豪に注目
・過去の金盃好走馬が活躍
年 | 優勝馬 | 所属 | 種牡馬 | 人気 |
---|---|---|---|---|
2020年 | サウンドトゥルー | 船橋 | フレンチデピュティ | 2人気 |
2019年 | サウンドトゥルー | 船橋 | フレンチデピュティ | 1人気 |
2018年 | クラージュドール | 船橋 | キングカメハメハ | 5人気 |
2017年 | ユーロビート | 大井 | スズカマンボ | 2人気 |
2016年 | ジャルディーノ | 大井 | ワイルドラッシュ | 3人気 |
2015年 | アウトジェネラル | 大井 | アドマイヤドン | 8人気 |
2014年 | フォーティファイド | 大井 | フォーティナイナー | 4人気 |
2013年 | トーセンルーチェ | 船橋 | マリエンバード | 2人気 |
2012年 | トーセンルーチェ | 船橋 | マリエンバード | 4人気 |
2011年 | スーパーパワー | 大井 | スキャターザゴールド | 1人気 |
過去10年の優勝馬のうち、2,000m以上の南関重賞 or JRA重賞を“複数”制している馬は4頭(太字)。
南関東では長距離重賞が限られていることもあり、ステイヤーにとっては大目標となるレースの1つとなっている。
長距離戦は騎手の腕の見せ所!?
年 | 1着 | 2着 | 3着 |
---|---|---|---|
2020年 | 森 泰斗 | 楢崎 功祐 | 本田 正重 |
2019年 | 御神本 訓史 | 的場 文男 | 森 泰斗 |
2018年 | 森 泰斗 | 町田 直希 | 石崎 駿 |
2017年 | 吉原 寛人 | 山本 聡哉 | 森 泰斗 |
2016年 | 真島 大輔 | 吉原 寛人 | 本橋 孝太 |
2015年 | 御神本 訓史 | 森 泰斗 | 石崎 駿 |
2014年 | 戸崎 圭太 | 吉原 寛人 | 御神本 訓史 |
2013年 | 張田 京 | 御神本 訓史 | 石崎 駿 |
2012年 | 張田 京 | 米倉 知 | 森 泰斗 |
2011年 | 真島 大輔 | 今野 忠成 | 佐藤 博紀 |
長距離戦は騎手で買え!?
過去10年の1着~3着には、年間100勝以上をマークするジョッキーがずらりと並んでいる。
「太字」は前年に100勝以上(※)の勝ち星を挙げた騎手で、さらに「赤字」は前年の南関東リーディング上位3名だ。
※JRA含む
距離が2,600mとなった2015年以降は「森泰斗騎手」が5回、「御神本訓史騎手」「吉原寛人騎手」「石崎駿騎手」が2回、馬券に絡んでいる。
また、優勝騎手の「御神本訓史騎手(2015年)」「真島大輔騎手」「森泰斗騎手(2018年/2020年)」は、前年の南関東リーディングで2位以内だった。
“リピーター”と“前年の南関東リーディング2位以内”の騎手には要注目となりそう。
ちなみに、南関東リーディングは「森泰斗騎手」「矢野貴之騎手」「真島大輔騎手」が2015年から上位3位を独占していたが…
2019年以降は「森泰斗騎手」「矢野貴之騎手」の上位2名の背中を「笹川翼騎手」が猛追している形だ。
2020年南関東リーディングはこちら
大井vs船橋
所属 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
浦和 | 0 | 1 | 0 | 19 | 0.0% | 5.0% |
船橋 | 5 | 1 | 6 | 26 | 13.2% | 15.8% |
大井 | 5 | 7 | 4 | 72 | 5.7% | 13.6% |
川崎 | 0 | 1 | 0 | 5 | 0.0% | 16.7% |
地元の「大井所属馬」が5勝、2着7回、3着4回。
これに続くのが「船橋所属馬」の5勝、2着1回、3着6回となり、両場合わせると10勝、2着8回、3着10回とほぼほぼ独占状態だ。
出走頭数では「船橋所属馬」の方が少ないので、好走率は同所属馬に分があるだろう。
6番人気以下が活躍
人気別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1人気 | 2 | 1 | 2 | 5 | 20.0% | 30.0% |
2人気 | 3 | 0 | 1 | 6 | 30.0% | 30.0% |
3人気 | 1 | 0 | 2 | 7 | 10.0% | 10.0% |
4人気 | 2 | 2 | 2 | 4 | 20.0% | 40.0% |
5人気 | 1 | 1 | 0 | 8 | 10.0% | 20.0% |
6人気以下 | 1 | 6 | 3 | 92 | 1.0% | 6.9% |
「1番人気馬」に絶対的な信頼度はない。
「1~5番人気馬」までが総じて結果を残している反面、4着以下に敗れるシーンも少なくないようだ。
また、特徴的なのは「6番人気以下」の好走。
勝率こそ1.0%と高くないものの、連対率6.9%、3着内率9.8%は人気を考えると上々の成績ではないだろうか。
昨年も1着から順に「2番人気」⇒「10番人気」⇒「7番人気」で決着しているように、「6番人気以下」の馬たちが波乱を演出している。
高配当が期待できる!?
年 | 単勝(円) | 馬複(円) | 三連単(円) |
---|---|---|---|
2020年 | 450 | 21,670 | 413,790 |
2019年 | 160 | 950 | 5,960 |
2018年 | 740 | 3,630 | 44,860 |
2017年 | 400 | 14,050 | 118,070 |
2016年 | 450 | 1,610 | 11,730 |
2015年 | 4,070 | 4,620 | 553,090 |
2014年 | 800 | 6,900 | 48,170 |
2013年 | 520 | 2,030 | 18,910 |
2012年 | 1,080 | 20,610 | 213,460 |
2011年 | 240 | 4,450 | 170,150 |
平均 | 891 | 8,052 | 159,819 |
「馬複」の平均は8,052円、「三連単」は同159,819円。
前項の「人気別成績」の通り、軸馬の選択が難しく、人気薄の好走も多いため高配当となる傾向にあるようだ。
「1枠」の好走率が高い
枠番 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 0 | 3 | 3 | 5 | 0.0% | 27.3% |
2枠 | 2 | 0 | 0 | 9 | 18.2% | 18.2% |
3枠 | 0 | 0 | 0 | 11 | 0.0% | 0.0% |
4枠 | 1 | 0 | 0 | 11 | 8.3% | 8.3% |
5枠 | 0 | 3 | 1 | 8 | 0.0% | 25.0% |
6枠 | 2 | 0 | 2 | 8 | 16.7% | 16.7% |
7枠 | 1 | 0 | 0 | 11 | 8.3% | 8.3% |
8枠 | 0 | 0 | 0 | 12 | 0.0% | 0.0% |
ここからは金盃が2,600mとなった2015年以降、6年間のデータでお届けする。
過去6年では「1枠」「2枠」「5枠」「6枠」の好走が目立つ。
「4枠」と「7枠」も1回ずつ勝利しているが、その他の好走は全て上記の枠番となっているのだ。
特に「1枠」は連対率27.3%、3着内率54.5%とハイアベレージ。
優勝馬こそ出ていないものの、コーナーを6回通過する長距離戦だけに、最短距離を走れる枠はプラスに作用するのかもしれない。
性別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
牡馬 | 3 | 5 | 6 | 67 | 3.7% | 9.9% |
牝馬 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% |
セン馬 | 3 | 1 | 0 | 7 | 27.3% | 36.4% |
タフな条件でもあり、「牝馬」の参戦は2017年タイムビヨンド(6着)のみ。
古豪が活躍!
年齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
4歳 | 0 | 2 | 1 | 6 | 0.0% | 22.2% |
5歳 | 1 | 2 | 2 | 13 | 5.6% | 16.7% |
6歳 | 0 | 0 | 0 | 15 | 0.0% | 0.0% |
7歳以上 | 5 | 2 | 3 | 41 | 9.8% | 13.7% |
「7歳以上」の古豪が5勝、2着2回、3着3回。
現在、“5連覇中”の「7歳以上」の馬だが、年齢別にさらに細かく見てみよう。
年齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
7歳 | 1 | 1 | 2 | 15 | 5.3% | 10.5% |
8歳 | 2 | 1 | 0 | 10 | 15.4% | 23.1% |
9歳 | 1 | 0 | 0 | 11 | 8.3% | 8.3% |
10歳 | 1 | 0 | 1 | 3 | 20.0% | 20.0% |
11歳 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% |
以上のデータより「7歳」~「10歳」が勝ち星を挙げているのが分かる。
これを少し掘り下げてみると…
▽2016年2着ユーロビート(7歳時) ⇒ 8歳時に金盃優勝!
▽2017年3着クラージュドール(7歳時) ⇒ 8歳時に金盃優勝!
▽2019年1着 サウンドトゥルー(9歳時) ⇒ 10歳時に金盃連覇!
年齢を重ねて着順を上げているように、円熟味を増したステイヤーには一目置きたいところだろう。
オープン馬が強い!
斤量 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
57kg以上 | 2 | 3 | 2 | 8 | 13.3% | 33.3% |
56kg | 3 | 1 | 2 | 38 | 6.8% | 9.1% |
55kg | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% |
54kg | 1 | 1 | 2 | 15 | 5.3% | 10.5% |
53kg以下 | 0 | 1 | 0 | 13 | 0.0% | 7.1% |
金盃の「斤量」はクラス別定で、以下の通りとなる。
▼A1級56kg A2級54kg B1級以下52kg 牝馬2kg減
※2020.2.3~2021.2.12までのダートグレード競走/JRA重賞1着馬は2kg、南関東S1/S2重賞1着馬は1kg加増
※2歳・3歳限定競走は除く
秋の「東京記念(S1・2,400m)」は年齢/性別による「定量戦」なので、クラス(格付)が下の馬にとっては金盃の方が走りやすい条件だ。
結論的には斤量「56kg」「57kg以上」を背負うオープン馬(A1級)が強い。
唯一、「54kg(A2級)」で優勝したのは2016年のジャルディーノだが、当時4連勝中で、オープン競走を完勝していた実力馬だった。
ちなみに、南関東のクラスは「番組賞金」によって決定する。
JRAでは基本的に1つ勝つと上のクラスに昇級するが、南関東では5着でも賞金を獲得すると上のクラスに昇級できるのである。
南関東の「クラス」「番組賞金」について、詳しくはこちらをご覧頂きたい。
金盃が得意な馬を探せ!
年 | 1着 | 2着 | 3着 |
---|---|---|---|
2020年 | サウンドトゥルー | フレアリングダイヤ | トーセンブル |
2019年 | サウンドトゥルー | シュテルングランツ | ワークアンドラブ |
2018年 | クラージュドール | ウマノジョー | キングニミッツ |
2017年 | ユーロビート | ウマノジョー | クラージュドール |
2016年 | ジャルディーノ | ユーロビート | プレティオラス |
2015年 | アウトジェネラル | ドラゴンエアル | フォーティファイド |
2014年 | フォーティファイド | ツクバチャーム | アウトジェネラル |
2013年 | トーセンルーチェ | フォーティファイド | スターシップ |
2012年 | トーセンルーチェ | タートルベイ | スマートインパルス |
2011年 | スーパーパワー | シーズザゴールド | フリートアドミラル |
「太字」の馬は金盃で複数回、3着内に好走した馬となる。
距離が2,600mに距離が変更された2015年以降もリピーターが活躍する傾向に変わりはないようだ。
リピーターの活躍は大井2,400mで争われる「東京記念」の南関データ分析でも記載しているが、
南関東においては限られた条件(※)ということもあり、長距離戦を目標に息の長い活躍をする馬が多いのかもしれない。
※南関東で行われる2,400m以上の重賞は「金盃」「東京記念」「ダイオライト記念(船橋2,400m・Jpn2)」の3競走
金盃TR着順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
金盃TR1着 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0.0% | 0.0% |
金盃TR2着 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% |
金盃TR3着 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% |
金盃TR4着以下 | 0 | 0 | 0 | 5 | 0.0% | 0.0% |
2019年の金盃時から実施されている「金盃トライアル競走」。
(年跨ぎのため、初回のレースは2018年12月実施)
今年で3回目となるため傾向は掴みにくいが、やや苦戦気味と言えるかもしれない。
それでも、長距離が得意なステイヤーが参戦しているだけに大注目だろう。
2020年金盃トライアルの結果
好走率が高い!
報知ASC着順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
報知ASC1着 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0.0% | 50.0% |
報知ASC2着 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0.0% | 0.0% |
報知ASC3着 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% |
報知ASC4着以下 | 3 | 0 | 0 | 9 | 25.0% | 25.0% |
お正月の川崎開催で行われる2,100mの重賞。
金盃の前後は中長距離重賞が各場で行われていることもあり、「報知オールスターカップ(S3)」からの転戦馬は少ない。
「報知オールスターカップ」の上位馬は好走率も高いが、注目は同レース4着以下の馬たち。
なんと「報知オールスターカップ」出走組の全3勝を挙げているように、さらなる距離延長で前進しているのだ。
小回りの川崎コースから広い大井外回りコースへ。
条件替わりで一変する馬を見つけたいところだろう。
2021年報知オールスターカップの結果
もう一つの大井長距離重賞
東京記念着順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
東京記念1着 | 1 | 1 | 1 | 2 | 20.0% | 40.0% |
東京記念2着 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0.0% | 33.3% |
東京記念3着 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0.0% | 0.0% |
東京記念4着以下 | 0 | 1 | 1 | 21 | 0.0% | 4.3% |
前年の9月~10月に行われる2,400mの「東京記念」。
前述したように、南関東では貴重な長距離重賞ということで、金盃と同様に多くのステイヤーが参戦している。
現在、5年連続で「東京記念」優勝馬が金盃に出走して1勝、2着1回、3着1回、6着2回。
絶対的な信頼感はないものの、一定の成績を残していると言えるだろう。
2020年東京記念の結果
ステイヤーが大活躍!
前走距離 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1,800m未満 | 0 | 1 | 0 | 17 | 0.0% | 5.6% |
1,800m~2,000m未満 | 0 | 2 | 0 | 14 | 0.0% | 12.5% |
2,000m以上 | 6 | 3 | 6 | 44 | 10.2% | 15.3% |
こちらのデータは「前走の距離別の成績」となる。
前走が「2,000m以上」の馬が全6勝を挙げ、2着3回、3着6回と長距離路線組がきっちりと結果を残している。
一方、前走「1,800m未満」と「1,800m~2,000m未満」は2着が合計3回あるのみ。
大幅な距離延長はプラスとはなっていないようだ。
今回の「南関データ分析」はここまで!
次回は3歳重賞!「金盃」の翌日2月18日(木)に大井競馬場で行われる「雲取賞(S3)」です!
南関重賞の過去の傾向をデータで分析!
知って得するデータから豆知識まで、予想に役立つデータをご紹介いたします!
(SPAT4プレミアムポイント事務局調べ)
競走除外馬及び出走取消馬はデータには含めておりません。
また、当コンテンツの内容においては、特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。
データ満載!南関東4競馬場の情報は「nankankeiba.com」をチェック!