ステイヤーの血が騒ぐ「東京記念(S2)」
大井2,400mで争われる伝統の一戦。
長距離が得意なステイヤーをはじめ、秋のビッグレースを見据える有力馬が参戦してくる。
▼データ分析のポイント
・名手の手綱捌き
・東京記念で好走実績がある馬に注目
・トライアル連対馬は過去6年で3連対
年 | 優勝馬 | 所属 | 種牡馬 | 人気 |
---|---|---|---|---|
2023年 | セイカメテオポリス | 大井 | マジェスティックウォリアー | 1人気 |
2022年 | ランリョウオー | 浦和 | パイロ | 1人気 |
2021年 | フレッチャビアンカ | 船橋 | キンシャサノキセキ | 4人気 |
2020年 | サウンドトゥルー | 船橋 | フレンチデピュティ | 3人気 |
2019年 | ストライクイーグル | 大井 | キンシャサノキセキ | 3人気 |
2018年 | シュテルングランツ | 浦和 | ステイゴールド | 2人気 |
2017年 | サブノクロヒョウ | 大井 | ロージズインメイ | 12人気 |
2016年 | ユーロビート | 大井 | スズカマンボ | 1人気 |
2015年 | プレティオラス | 大井 | フィガロ | 3人気 |
2014年 | ユーロビート | 大井 | スズカマンボ | 2人気 |
南関東4場で行われた2,000m以上のレース数は以下の通り。
▼2020年:117レース
▼2021年:146レース
▼2022年:163レース
▼2023年:160レース
▼2024年:119レース(8/30終了時点)
年を追うごとにレース数が増加しているように、南関東における長距離需要は高まってると言えそう。
その中から“重賞”という条件は合計17レース(2023年)、さらに、東京記念が行われる2,400m以上の重賞となると年間3レースしかない。
ステイヤーにとっての大目標が限られることもあり、東京記念はリピーターの活躍が目立つ。
同一馬による複数回の優勝も多く、2014年&2016年はユーロビート、2013年&2015年はプレティオラスが優勝している。
その他、2、3着馬もリピーターが活躍する傾向にあるが、詳細は後述の「東京記念の1着~3着馬」にてご紹介しよう。
名手の捌きに酔いしれろ!
年 | 1着 | 2着 | 3着 |
---|---|---|---|
2023年 | 吉原 寛人 | 本橋 孝太 | 今野 忠成 |
2022年 | 本橋 孝太 | 本田 正重 | 今野 忠成 |
2021年 | 御神本 訓史 | 山口 達弥 | 本橋 孝太 |
2020年 | 森 泰斗 | 西 啓太 | 繁田 健一 |
2019年 | 吉原 寛人 | 矢野 貴之 | 真島 大輔 |
2018年 | 的場 文男 | 大畑 雅章 | 吉原 寛人 |
2017年 | 和田 譲治 | 大畑 雅章 | 石崎 駿 |
2016年 | 吉原 寛人 | 石崎 駿 | 的場 文男 |
2015年 | 本橋 孝太 | 森 泰斗 | 中野 省吾 |
2014年 | 真島 大輔 | 石崎 駿 | 達城 龍次 |
長距離戦は騎手の捌きにも注目!
過去10年で活躍が目立つのは金沢所属の「吉原寛人騎手」で3勝、3着1回。
いずれも大井所属馬とのコンビで好走しており、とりわけ渡邉和雄厩舎の管理馬で2勝、3着1回の成績を残している。
「吉原寛人騎手」と言えば、全国の競馬場で勝ち星を量産している名手中の名手。
2024年4月18日の浦和第2レースでは地方通算3,000勝を達成したほか、4月の「川崎記念(Jpn1)」ではライトウォーリアを勝利に導いた。
今年の東京記念が行われる4日前、9月8日には同馬とともに「コリアカップ(韓国・G3)」に挑戦する予定となっているので是非ご注目を。
その他では、2021年から3年連続で3着内(1勝、2着1回、3着1回)に好走している「本橋孝太騎手」も見逃せない。
2013年&2015年には東京ダービー馬プレティオラスで制しているように、長距離戦での存在感は人一倍だ。
さらには、「御神本訓史騎手」「森泰斗騎手」「和田譲治騎手」といった南関東を代表する名手が流石の捌きを披露している。
大井所属馬が6勝
所属 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
浦和 | 2 | 2 | 0 | 15 | 10.5% | 21.1% |
船橋 | 2 | 3 | 4 | 30 | 5.1% | 12.8% |
大井 | 6 | 3 | 6 | 51 | 9.1% | 13.6% |
川崎 | 0 | 0 | 0 | 10 | 0.0% | 0.0% |
南関以外 | 0 | 2 | 0 | 8 | 0.0% | 20.0% |
「大井所属馬」と「船橋所属馬」が過去10年で14連対、3着内は合計24回!
地元の「大井所属馬」は過去10年で6勝、2着3回、3着6回。
データ分析期間外となるが、2011年から2017年まで怒涛の7連覇を達成するなど、地の利を存分に生かしている形だ。
対する「船橋所属馬」は2勝、2着3回、3着4回。
ただし、近年はやや成績を落としている傾向にあり、「浦和所属馬」が2勝、2着2回(全て小久保智厩舎)と成績を伸ばしている。
また、東京記念は2020年まで全国交流として行われていたため、データ上は南関東以外の馬が含まれる。
ちなみに、2014年~2020年までの期間では愛知所属のカツゲキキトキトが2017年と2018年に2着した実績がある。
人気馬がきっちりと!?
人気別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1人気 | 3 | 4 | 0 | 3 | 30.0% | 70.0% |
2人気 | 2 | 1 | 2 | 5 | 20.0% | 30.0% |
3人気 | 3 | 0 | 2 | 5 | 30.0% | 30.0% |
4人気 | 1 | 1 | 1 | 7 | 10.0% | 20.0% |
5人気 | 0 | 2 | 2 | 6 | 0.0% | 20.0% |
6人気以下 | 1 | 2 | 3 | 88 | 1.1% | 3.2% |
「1~3番人気馬」が計8勝。
また、「1~3番人気馬」同士のワンツーも4回あるように、上位人気馬がしっかりと期待に応えている。
ただし、内訳は「1番人気馬:3勝」「2番人気馬:2勝」「3番人気馬:3勝」と人気通りの信頼度ではない。
このあたりが次項で紹介する「配当傾向」に影響しているのだろう。
高配当も期待できる
年 | 単勝(円) | 馬複(円) | 三連単(円) |
---|---|---|---|
2023年 | 280 | 990 | 11,420 |
2022年 | 310 | 1,080 | 8,020 |
2021年 | 620 | 6,410 | 56,160 |
2020年 | 510 | 7,660 | 160,480 |
2019年 | 560 | 880 | 22,660 |
2018年 | 480 | 960 | 34,390 |
2017年 | 12,320 | 32,180 | 687,250 |
2016年 | 210 | 1,770 | 5,830 |
2015年 | 510 | 590 | 7,550 |
2014年 | 280 | 180 | 2,090 |
平均 | 1,608 | 5,270 | 99,585 |
3番人気以内の馬が8勝しているので「単勝」は落ち着いた配当が多い。
一方、「馬複」は4桁配当が4回、万馬券が1回。
さらに、「三連単」は万馬券が6回あり、うち2回は10万円オーバーの高額配当だ。
前項の通り、3番人気以内同士のワンツーは4回を数えるものの、高配当を狙って上位人気馬から手広く流しても面白いかもしれない。
どの枠からでも
枠番 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 1 | 2 | 0 | 11 | 7.1% | 21.4% |
2枠 | 1 | 2 | 1 | 12 | 6.3% | 18.8% |
3枠 | 1 | 2 | 4 | 11 | 5.6% | 16.7% |
4枠 | 2 | 1 | 2 | 13 | 11.1% | 16.7% |
5枠 | 0 | 1 | 1 | 17 | 0.0% | 5.3% |
6枠 | 3 | 2 | 0 | 14 | 15.8% | 26.3% |
7枠 | 1 | 0 | 2 | 17 | 5.0% | 5.0% |
8枠 | 1 | 0 | 0 | 19 | 5.0% | 5.0% |
最も成績が良いのは「6枠」の3勝、2着2回。
2021年は「6枠」の2頭で上位2着内を独占するなど、「6枠」が突出して良かったのだが…
直近2年は「6枠」の好走はなく、内寄りの「2枠」~「4枠」が1勝、2着2回、3着2回と平均化されてきた印象だ。
大井2,400mは向こう正面入り口からスタートして、外回りコースを1周半、コーナー6回という設定。
内側をロスなく走るに越したことはないが、全ての枠番に連対実績がある通り、データからは有利/不利は読み解けないところだ。
性別 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
牡馬 | 7 | 9 | 9 | 99 | 5.6% | 12.9% |
牝馬 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0.0% | 0.0% |
セン馬 | 3 | 1 | 1 | 11 | 18.8% | 25.0% |
タフな条件ということもあり、「牝馬」の出走は過去10年で4頭のみ。
「セン馬」の3勝、2着1回、3着1回のうち、1勝はサウンドトゥルー、その他は全てユーロビートだ。
世代を超えたステイヤー対決
年齢 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
3歳 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% |
4歳 | 3 | 4 | 3 | 13 | 13.0% | 30.4% |
5歳 | 2 | 2 | 1 | 25 | 6.7% | 13.3% |
6歳 | 2 | 2 | 3 | 24 | 6.5% | 12.9% |
7歳以上 | 3 | 2 | 3 | 50 | 5.2% | 8.6% |
「4歳馬」の成績がすこぶる良い。
2021年、2022年と「4歳馬」によるワンツーが続き、通算3勝、2着4回、3着3回は好走数、好走率ともにNo.1だ。
また、直近2年は「4歳馬」と「5歳馬」が上位3着内を独占。
若馬の勢いか?それとも経験豊富な年長馬か?
世代を超えたステイヤー対決は競馬の醍醐味と言ってもいいだろう。
リピーターが活躍する東京記念!
年 | 1着 | 2着 | 3着 |
---|---|---|---|
2023年 | セイカメテオポリス | ランリョウオー | ミヤギザオウ |
2022年 | ランリョウオー | セイカメテオポリス | フレッチャビアンカ |
2021年 | フレッチャビアンカ | エメリミット | フィアットルクス |
2020年 | サウンドトゥルー | サブノクロヒョウ | リンゾウチャネル |
2019年 | ストライクイーグル | センチュリオン | スギノグローアップ |
2018年 | シュテルングランツ | カツゲキキトキト | ユーロビート |
2017年 | サブノクロヒョウ | カツゲキキトキト | キングニミッツ |
2016年 | ユーロビート | ストゥディウム | ケイアイレオーネ |
2015年 | プレティオラス | ユーロビート | カキツバタロイヤル |
2014年 | ユーロビート | サミットストーン | ツルオカオウジ |
東京記念の「1~3着馬」はご覧のとおり。
太字(※)は複数回3着内に好走している馬だが、2019年以外は全て該当馬が1頭以上いることになる。
※対象期間外(2013年以前)の好走例含む
また、長期に渡って活躍する馬が多いのも特徴。
2014年&2016年を勝利したユーロビートは、2015年に2着したほか、2018年にも3着がある。
さらに、カキツバタロイヤルは2010年、2012年、2015年に3着、2017年の優勝馬サブノクロヒョウは2020年の2着馬だ。
南関東の長距離重賞は貴重な条件だけに、息の長い活躍を見せるステイヤーには一目置く必要があるだろう。
前年の1,2着馬に明暗?
前年着順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
前年1着 | 0 | 2 | 1 | 4 | 0.0% | 28.6% |
前年2着 | 2 | 1 | 0 | 3 | 33.3% | 50.0% |
前年3着 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0.0% | 0.0% |
前年4着以下 | 0 | 1 | 3 | 21 | 0.0% | 4.0% |
こちらは、「前年の東京記念」における着順別の成績。
前項の「東京記念1~3着馬」にあるように、複数年にまたがっての活躍も目立つが、前年の東京記念好走馬も好成績を残している。
特に「前年の東京記念2着馬」の成績が良く、計6頭が出走して2勝、2着1回。
一方、過去10年で「東京記念連覇」を達成した馬は不在で、リベンジを許したケースの方が多くなっている。
2023年東京記念の結果
同条件のトライアル
東京記念TR着順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
東京記念TR1着 | 1 | 0 | 0 | 5 | 16.7% | 16.7% |
東京記念TR2着 | 2 | 0 | 0 | 4 | 33.3% | 33.3% |
東京記念TR3着 | 0 | 1 | 1 | 4 | 0.0% | 16.7% |
東京記念TR4着以下 | 0 | 0 | 2 | 15 | 0.0% | 0.0% |
2018年から実施されているトライアル競走。
実施当初から「トライアル」 ⇒ 「東京記念」と歩みを進める馬は多く、
2018年以降の6年で「トライアル」1~3着馬は全18頭が参戦して3勝、2着1回、3着1回となる。
トライアル自体がオープン競走で“再戦”という形になるが、トライアルの結果がそのまま本番に結びつくかと言うとそうでもない。
ただし、東京記念と同じ「2,400m」という条件で、3頭の勝ち馬を送り出しているレースだけに見逃せないところだ。
2024年東京記念トライアル競走の結果
大井記念上位馬は要チェック!
大井記念着順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
大井記念1着 | 3 | 1 | 1 | 2 | 42.9% | 57.1% |
大井記念2着 | 0 | 2 | 1 | 2 | 0.0% | 40.0% |
大井記念3着 | 1 | 0 | 0 | 0 | 100.0% | 100.0% |
大井記念4着以下 | 1 | 4 | 4 | 26 | 2.9% | 14.3% |
同年5月に大井2,000mで行われる「大井記念(S1)」。
「帝王賞(Jpn1)」のステップレースの1つではあるが、例年、南関東の中長距離路線の有力馬が多く参戦している。
「大井記念」覇者は過去10年で7頭が参戦。
直近2年は大井記念覇者が東京記念を勝利するなど、通算で3勝、2着1回、3着1回と信頼度は高い。
2024年大井記念の結果
ダイオライト記念組は好成績!
D記念着順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
D記念1着 | 0 | 0 | 0 | 0 | - | - |
D記念2着 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0.0% | 0.0% |
D記念3着 | 2 | 1 | 0 | 1 | 50.0% | 75.0% |
D記念4着以下 | 2 | 1 | 1 | 14 | 11.1% | 16.7% |
同年3月に船橋2,400mで行われるダートグレード競走「ダイオライト記念(Jpn2)」。
南関東からはタイトルホルダーが参戦することも多く、東京記念にも出走してくるようであれば、当然注目度は高くなる。
「ダイオライト記念」3着内の馬は5頭が出走して2勝、2着1回。
「ダイオライト記念」4着以下からは18頭が出走し、2勝、2着1回、3着1回の成績を残している。
JRA勢相手に好走した馬はもちろん、ダイオライト記念に挑戦した馬となれば実力上位といったところだ。
2024年ダイオライト記念の結果
金盃覇者は大不振…!?
金盃着順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 |
---|---|---|---|---|---|---|
金盃1着 | 1 | 0 | 1 | 6 | 12.5% | 12.5% |
金盃2着 | 1 | 1 | 0 | 5 | 14.3% | 28.6% |
金盃3着 | 1 | 0 | 0 | 4 | 20.0% | 20.0% |
金盃4着以下 | 2 | 2 | 3 | 21 | 7.1% | 14.3% |
同年1月~2月に大井2,600mで行われる長距離重賞「金盃(S2)」。
南関東では2,400m以上の重賞が「東京記念」「金盃」「ダイオライト記念」の3競走のみとなっていることから、
東京記念と同様、「金盃」にも長距離が得意なステイヤーが出走してくる。
と、なると関係性は高いように思うが、「金盃」上位馬の成績は芳しくない。
過去10年の「金盃」1~3着馬は計20頭が参戦して3勝、2着1回、3着1回。
優勝馬は2016年ユーロビート、2020年サウンドトゥルー、2023年セイカメテオポリスとなっている。
2024年金盃の結果
今回の「南関データ分析」はここまで!
次回は3歳ダート三冠の最終戦!
10月2日(水)に大井競馬場で行われる「ジャパンダートクラシック(Jpn1)」を特別公開します!
南関重賞の過去の傾向をデータで分析!
知って得するデータから豆知識まで、予想に役立つデータをご紹介いたします!
(SPAT4プレミアムポイント事務局調べ)
競走除外馬及び出走取消馬はデータには含めておりません。
また、当コンテンツの内容においては、特定の馬の応援や推奨などを行うものではありません。
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