コラム

さきたま杯        

5月31日に浦和競馬場で行われたさきたま杯は、兵庫のイグナイターが鮮やかな差し切り勝ち。
7番人気の低評価を覆したNARグランプリ2022の年度代表馬が、昨年の黒船賞、かきつばた記念に次ぐ3つ目の交流タイトルを手に入れました。

初めて手綱を取った前走のかしわ記念(7着)で手応えをつかんでいた笹川翼騎手は
「器用さがすごくあるので、小回りが合うと思っていました。
前に強い馬がいたのでマークする形で、最後は歯をくいしばって頑張ってくれました」と会心の表情。

今後は休養を挟んで、マイルチャンピオンシップ南部杯(10月9日、盛岡、ダート1,600メートル)から
JBCスプリント(11月3日、大井1,200メートル)へ。
昨年同様のローテーションで悲願のJpn1制覇を狙います。

『南関競馬スパッと予想』ブログで公開した予想は

◎シャマル中止
〇スマイルウィ2着
▲コンシリエーレ5着
△バスラットレオン3着
△エアアルマス7着

でハズレ。

向こう正面半ばで早くも先頭に立った5番人気スマイルウィは、あと一歩及ばずクビ差の2着。
矢野貴之騎手は「スタートがいい武器になって、いいペースでうまく運べていると思います。
負けた相手が相手だけにちょっと悔しい感じがしますけど、展開のアヤかな。
最後に(ムチで)叩けないところとか、あの馬の難しさですね」と残念そう。

ただ、かしわ記念を競走除外(右前挫跖)になった影響を全く感じさせないレースぶりで、
ダートグレード競走で通用する力は示してくれています。
次走予定のサンタアニタトロフィー(8月2日、大井1,600メートル)は主役級の評価でいいでしょう。

後方2番手を進んだ9番人気アポロビビが、勝ち馬と同じメンバー最速の上がり3ハロン37秒3の末脚で4着まで追い上げました。
御神本訓史騎手は「初めて乗ったからなんとも分からないけど、前が残っているからね。よく走っていると思う」とコメント。

4番人気7着エアアルマスの森泰斗騎手は「キックバックがダメ。砂をかぶったら一気に戦意喪失する。
かぶりたくないから余計に外を回るし、内ラチを走っている馬に比べてだいぶ距離ロスが出ちゃう。
コースうんぬんより、ポジショニングですね」。
20年の東海Sを含むJRA8勝の実力馬ですが、東京スプリントのコラムでも触れた通り、
外枠を引いてスムーズに流れに乗れるかどうかが鍵になります。

絶好のスタートを決めてハナを奪った8番人気ギシギシは勝負どころで手応えが怪しくなり、ずるずる失速して8着。
初騎乗の的場文男騎手は「スタートは速いし、スピードもあるけど、絡まれちゃったからね。
3コーナーで止まっちゃった。1,200メートルの方がいいでしょう」。
フジノウェーブ記念(3着)で主戦・矢野騎手も同じコメントをしているので、ワンターンの競馬で巻き返しを期待します。

B1の身で挑んだ10番人気ビヨンドボーダーズは6着に健闘。
山林堂信彦騎手は「自分のリズムを崩さないで競馬ができればそれなりに力を出せる。
自己条件だと(ペースが)遅いから、どうしてもクッと引っ張ったときにグーッって引っかかっちゃって抑えないとダメ。難しい」。
交流のペースが合っただけで適性は1,400、1,500メートルではなく、
自己条件なら流れが速くなりやすい1,000、1,200メートルがベストのようです。

なお、◎に推奨した1番人気シャマルはスタートから行きっぷりが悪く、最後の直線で競走を中止(右後肢跛行)しています。

プロフィール

プロフィール

江橋 大介

競馬記者として20年以上に亘り南関競馬を取材する経歴を持つ。
長年の現場取材で培った自身の眼を頼りに、馬はもちろん南関競馬に携わるあらゆる人との繋がりで得られた情報を元に結論を導き出す予想スタイル。

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