「冬の調教に対するギモン」
2016/2/15
馬は暑さが苦手というのは、わりと広く知られている知識ではなかろうか。あれだけ大きい体で全身運動をするものだから、筋肉の発熱量はとても大きく、体を冷やさないと生命維持さえ危なくなる。しかしそんな状況でも周囲の空気が温かければシャレにならん……。
というのが基本的な理由。私の学生時代の後輩に体重120kgのヤツがいて、初夏の気持ちいい陽気の日に山のほうへ10人ほどでハイキングに行ったら、そいつだけ全身から湯気を立ち昇らせて、道の真ん中でへたりこんでいた。
それを考えると、体重200?のアケボノ選手が白熱灯でライトアップされているリング上で10分以上も戦うなんて、かなりすごいことだと思いますわ。とはいえ、プロレスはところどころで息を入れることができる。競走馬の場合はほとんどの場合で1分以上もトップスピードで走り、そのうちの何秒かは極限値で走ることを強要される。
競走馬はつまりアスリートの世界だから日ごろの鍛錬があるとはいえ、本当にすごいことだよなあと、書きながら改めて感心してしまった。マラソンが冬に行われることが多いのもそれが理由だろうし、欧州のサッカーも秋から春にかけてがシーズン。全身運動を必要とするスポーツが、気温が高い時期を避けて行われるのは、むしろ当然のことなのだろう。
しかし日本の競馬は一部を除いて通年開催。馬が「いや、ちょっとあたしゃ夏が苦手でして」といくら人間に訴えても、お望み通りにいかないケースもある。そんないわゆる「夏が苦手」という馬の多くは、体内で発生した熱をうまく発散させられないタイプ。エンジンが空冷式なのにちゃんと冷やせないから、オーバーヒートしてしまうのだ。
もちろん、競走馬を送り出す側はそうなったらまずいので、そのあたりを考えつつスケジュールを決めることになる。そして馬券を買う側は、どの季節が得意なのかを予想に組み込むことが重要だろう。船橋のキャプテンヒーローみたいに、気温が下がると走るタイプっているものね。
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