2026 Dirt Triple Crown
2025.10.15 川崎 1,600m鎌倉記念(SII) 【1着馬】全日本2歳優駿(JpnI) 出走権付与

2024年優勝馬 ベアバッキューン号
2歳重賞【浦和・川崎編】

鎌倉記念とは
地方交流で行われる2歳重賞。
まだまだ経験の浅い2歳馬だけに、経験豊富なホッカイドウ競馬所属馬の活躍が目立つレースでもある。
過去5年は南関東所属馬が2勝に対して、ホッカイドウ競馬所属馬は3勝。
遠く北海道からの長距離輸送を考えると、ホッカイドウ競馬所属馬の強さが際立つところだろう。
ただし、2024年は地元川崎の大器ベアバッキューンが快速を発揮して大差の逃げ切り勝ちを演じている。
また、2023年に重賞へと昇格した「若武者賞(SIII)」がトライアル競走となっていることから、
多くの実力馬の参戦が期待され、見応えのある一戦となりそうだ。
予想<日刊競馬・佐藤匠>
◎ベストグリーン
出走全馬の成績を合わせて19戦18勝。
頭数こそ8頭と多くはないものの、うち7頭が無敗と底を見せぬ馬たちによる空前の戦いとなった。
その中でも中心視したいのが、門別3戦3勝、うち2勝を重賞で挙げているベストグリーン。
3月13日、今年1回目の能検で48秒6と一番時計をマーク。
当時から道営ナンバーワンの呼び声高かったが、
開幕2日目のフレッシュチャレンジをレコードタイムのおまけつきで制して早々に実力を証明した。
当時1,100mを1分05秒6と4月半ばにして早くもハロン12秒ペースを上回る圧巻のスピード能力を見せた。
初の一周競馬となった前走ブリーダーズゴールドジュニアカップは手前替えに手間取って終い詰められこそしつつも、
1,700m1分50秒1と好時計で快勝。
早め先頭の走りにしても今思えば小回り川崎競馬に対しては最高のデモンストレーションを済ませることができたと考えられる。
地元門別のJpnIII・JBC2歳優駿ではなくこちらを使ってきたこと自体が年末の大一番、全日本2歳優駿を目指している証拠。
陣営も13年に全日本2歳優駿を制したハッピースプリントをしばし重ねる好素材で、
当然ここは勝ち負けよりもその勝ちっぷりを問われる一戦となろう。
○ゼーロス
2戦2勝の馬を2頭送り込む荒山厩舎の中でも上位にとったのがこちら。
新馬戦から時計を大きく詰めた前走一組戦は、直線後続の末脚を計りつつ押し切った大人びた逃げ切り勝ち。
一介のスピード馬とは思えぬメリハリの効いた走りからは距離の融通が効きそうな印象を受けた。
無論初物づくしの一戦とはなるが、弱気ともとれるコメントからしっかり結果を出してくる厩舎だけに、
当然ここは狙ってきたレースと考えていい。
▲スマトラフレイバー
7月からの休養明けとはなるが、取り止めとなった若武者賞からの復帰を見据えており乗り込みは存分に進んでいる。
昨年覇者ベアバッキューンの例を出すまでもなく川崎で猛威をふるうモズアスコットの産駒で、
自身の川崎適性もすでに前走で証明済。
川崎1,400m1分32秒2の持ち時計も最後に記すルーキーズサマーC勝ち馬ロードレイジングと同様で、力はすでに重賞級。
一貫してコンビを組む野畑騎手もほれ込む1頭で前掲2頭が適性から不発となった場合は一気に浮上してくる存在だ。
△ハンデンドレイク
荒山厩舎2頭目の刺客は川崎適性が高いモズアスコット産駒。
前走で徹底マークの末直線で5馬身差突き放したドキドキが、
大井ゴールドジュニアで勝ち馬ゴーバディからわずか1馬身1/4差の2着と考えるとこちらも南関重賞クラスの速力は明白。
前走時のパドックは入場時からかなりのイレコミ加減だっただけに、
10月に行われる今回はナイター照明下での長いパドック周回をどうこなすかがカギとはなりそう。
スピードに優るタイプだけに距離をどうこなすかも焦点とはなるが、
反面当日が前残りのスピード馬場になれば評価を見直していいところだろう。
△ロードレイジング
メンバー唯一の南関重賞、ルーキーズサマーCを制した実績上位。
ただ、当時は相手関係をみて熟慮の末、中1週で遠征を敢行した陣営の判断を褒めるべきで、
はっきり言えば相手関係が一気に上がるこここそが試金石……、という印象も否めない。
前走直後から陣営は当面の目標をここと定めて調整を続けてきており、若武者賞からのスライドがないのは好材料に違いないが、
前々走の初陣賞共々トップジョッキー特有の勝負どころでロスなく内を回して上がっていく好判断も光っていたし、
実績ほどのプッシュはしづらいのもまた確か。道中一度もたつくところもある馬だけに、
名うてのスピード馬がそろったここは差し切るまではいかず連下まで……、というのが記者の偽らざる本音となる。
YouTube予想
データ分析
参考レース
-
- 8/20
- 浦和
- 1,400m
- ルーキーズサマーカップ(SIII)
- ロードレイジング
-
- 9/4
- 大井
- 1,400m
- ゴールドジュニア(SIII)
- ゴーバディ
レース後分析<ケイシュウNEWS・取材部>
★当日の馬場状態・馬場傾向
稍重からスタートしたが、夕方からの降雨の影響で8レースからは重馬場に悪化。
先行決着の多い、基本的には前有利な馬場傾向。
ただし、本レースは向正面で出入りが激しくなり、5ハロン目には11.6秒のラップを記録。
キャリアの浅い2歳馬にとっては経験したことがないシビアな展開。
先行する馬には厳しい流れとなり、地力とセンスを問われるレースとなった。
★地元TM(トラックマン)による舞台ジャッジ
川崎1,600m自体は枠順の有利不利はないが、小回りコースでコーナーがキツいため、スムーズに周回していけるかがポイント。
キャリアの浅い2歳馬や大跳びの馬には克服できるかがカギとなる。
★レース振り返り
ロードレイジングが出遅れ、内枠からスマトラフレイバーが仕掛けて主張。
1コーナーに入る頃には隊列が落ち着いたが、ゼーロスが外に膨れて減速。
前半3ハロンの入りは37秒2でその後14秒7にペースが落ちたが、そこで後方からララメテオが一気に捲って先頭へ。
4コーナーではララメテオに終始インで脚を溜めていたハンデンドレイクが並びかけ、
その外から抜群の手応えでベストグリーンが進出。
直線堂々と先頭に立つと4馬身差の快勝。ハンデンドレイクが流れ込んで2着。
ゼーロスは直線だけの競馬で3着まで押し上げた。
1着 ベストグリーン【大物の予感】
門別からの長距離遠征だったが、体を大きく減らすこともなく、パドックでは少し周りを気にする程度。
馬っぷりを良く見せ、歩きもしなやか。落ち着き払って好気配に映った。
初コースで左回りの実戦も初めてだった上に、これまで経験のない出入りの激しい競馬。
影響なく堂々と抜け出してくる姿からは大物感すら感じた。
レース後の場内インタビューで小野騎手は
『落ち着いていて初遠征とは思えないくらいドッシリしていました。
道中でペースが落ちて包まれるような形で引掛かるようなところもありましたが、
周りも動いてくれてその流れにシッカリ乗って最後まで脚を使ってくれました。
本番は全日本2歳優駿だと思っているので、そこでもいい結果を出せるように頑張っていきたいです』と先を見据えたコメント。
全日本2歳優駿ではJRAの強敵が加わって更にハイレベルの争いとなるが、
管理する田中淳司調教師は過去にハッピースプリントでこのレースを制覇した経験がある。
その先輩に肩を並べるだけの素質を秘めていそうで先々まで注目の1頭だろう。
2着 ハンデンドレイク【収穫の多い一戦】
前走に続いての馬体増だったが重目感なし。
周回を重ねてテンションは高まっていたが、大井での2戦と比べ馬っ気を出すこともなくこの馬としては落ち着いて周回。
1,200mしか経験がなく、キャリア初の一周競馬、左回り、ナイター競馬と
課題山積みの中で砂を被って怯むことなくスムーズに周回できたのは収穫。
『大井での2戦と違い馬っ気を出さずパドックを周回して、気性面での成長が見られた。
騎乗した本田騎手も「モノ見せず初コースでも問題なかったし、距離も大丈夫そうです」と話をしていた。
今後のレース選択の幅が広がった』と荒山調教師。
現時点で次走は未定だが、南関馬同士の重賞で戦えるメドは立ったと考えたい。
3着 ゼーロス【インパクト大】
休み明けでもシッカリ仕上げてきた印象。パドックは小走り気味だったが、気合を出して程良い雰囲気。
レースは初の左回りが影響したのか、1コーナーで外に膨れて大きく減速。
向正面でレースが動いた時にも瞬時に反応できず、3コーナーも決してスムーズとは言えなかった。
正味直線だけの競馬で3着に押し上げてきたことを評価したい。
『初の左回りが影響したのか1コーナー、3コーナーとスムーズさを欠いてしまい、競馬に参加できなかった。
そんな中でも直線で伸びてきたのはこの馬の地力だと思う。
今後は馬の様子やオーナー、鞍上と相談の上で考えていきたい』と荒山調教師。
もう一度左回りへチャレンジする可能性もあるが、レース内容を踏まえると右回りの地元が現状はベター。
ただ、レースで見せたインパクトという点では一番で、今後の走りにも注目したい。
4着 ララメテオ【先々楽しみ】
新馬戦からプラス11キロと馬体増だったが、見た目に重目感なし。
デビュー2戦目での重賞挑戦だったが、物怖じすることなくパドックでも落ち着いて周回。
出遅れたため、テンに仕掛けず最後方から進めたが、向正面でペースが落ち着いたとみるや矢野騎手が一気に捲って先頭へ。
4コーナーで1・2着馬に並びかけられて最後は一杯になってしまったが、
キャリア2戦目で自らレースを動かしてこの走りができたのは評価できるし、収穫も多かったはず。
『出遅れて控える形になりましたが、砂を被っても気にすることなく脚が溜まっていました。
ペースが遅かったので一気にマクって行きましたが、キャリア2戦目で強敵相手に良く頑張ってくれました。
今回は初戦とは違ってゲート内でジッとしていて、出遅れてしまいました。
最近は馬場へ行くのを嫌がったり前向きさを欠いているので、一度休ませてあげてリフレッシュしたいと思います。
ララメテオの様子を見ながら始動したいと思いますので、次走は未定です』と酒井調教師。
自己条件なら当然首位争いで復帰戦を楽しみに待ちたい。
5着 ロードレイジング【持ち味生かせず】
『デキに関しては間隔のなかった前走より良かった』と弊社若林TM。
ルーキーズサマーカップからはプラス2キロ。
パドックは落ち着いて周回して、踏み込みにも力強さがあり、レースに向かうにあたっての雰囲気は良さそうに感じた。
レースでの出遅れは想定内で後方からの競馬も予想通り。
ただ、ララメテオがレースを動かした時に思ったほどついて行けず鞍上が仕掛けるシーン。
ここ2戦と比べると直線で弾けず、後方からゼーロスに交わされてしまい5着止まり。
出入りの激しい展開が合わなかった可能性もある。
『思った以上に動けておらず、勝ったルーキーズサマーカップの翌日に比べると疲れていなかった。
向正面でマクられて怯んだ感じで、力を出し切れたとは思っていない。次走は平和賞を予定』と加藤調教師。
今回は末脚が鳴りを潜めたが、ルーキーズサマーカップで見せた脚は見どころ十分で立て直しに期待したい。
6着 スマトラフレイバー【展開に泣く】
パドックは2人引きで気合を前面に出した周回。
見た目の印象は悪くなかった。レースは内枠から主張してハナへ。
本来は向正面でペースをガクッと落として息を入れたかったはずだが、
ペースが落ちたタイミングでララメテオが動いて結果的に息の入らない流れ。
若武者賞がレース当日の取り止めになってしまい、ローテーションへの影響は少なからずあったのかもしれない。
『これまでに比べスタート後の反応が悪かったのは、
若武者賞が取りやめになり、間隔があきレース勘が戻っていなかったためでしょう。
また、ジョッキーが枠順を考慮してかハナを主張して、競る形になったのも痛かったですね。
決して逃げ一手ではないので、枠順が逆でしたら違った競馬ができたと思います。
体重が増えていましたが、太くはありませんでしたし、
能力的にあのメンバーにヒケを取らないものがあると思っています。
次走に予定している平和賞で違った姿を見せたいですね』と稲益調教師。
出入りのある厳しい競馬を体験できたことは今後の糧となるはず。
レース回顧
レース概要
| 実施日 | 10/15(水) |
| 競馬場 | 川崎競馬場 |
| 距離 | 1,600m |
| 出走条件 | サラ系2歳 |
| 負担重量 | 牡馬55kg 牝馬54kg |
| 優先出走権 | 1着馬に「全日本2歳優駿(JpnI)」の優先出走権付与 |



