2026 Dirt Triple Crown
2025.11.5 船橋 1,600m平和賞(SII)【1着馬】全日本2歳優駿 出走権付与

2024年優勝馬 ウィルオレオール号(外)
Road to 全日本2歳優駿

平和賞とは
地方交流で行われる2歳重賞。
直近の優勝馬からはヒカリオーソ、ヴァケーションとビッグネームを輩出。
過去にも南関東クラシックを勝利する馬を送り出すなど、毎年レベルの高いレースが展開されている。
現在、ホッカイドウ競馬所属馬が3連覇を達成しており、南関東所属馬の奮起にも期待したいところ。
また、1着馬には2歳ダートチャンピオンを決する「全日本2歳優駿(JpnI)」の優先出走権が付与されるだけに、
見逃せない一戦となりそうだ。
予想<勝馬・岩上奈津妃記者>
力差ない面子が揃った印象。
展開一つでどの馬にもチャンスがあり、混戦模様。
ある程度ペースは流れそうだが、先行力ある馬が多いので、前目で流れに乗れて、終いはひと脚使える馬を中心に狙ってみる。
◎ミリオンクラウン
ダートも芝もこなせて二刀流。
中央の芝オープンで2着、中央芝の重賞でも不利を受けながらもしっかり好位に取り付き、0.9秒差の8着と健闘。
ここではスピード能力上位。
どんな条件でもしっかり自身の力を出せるのが強みで、今回は遠征競馬で、初の左回りでも心配はない。
追い切りも左回りで好内容、動き良好とのこと。
勝負根性もあるし、走りの安定感から軸には最適だろう。
◯スマトラフレイバー
前走はトライアル取り止め後の、間隔が空いた中での参戦。
先手を取って自分の競馬に持ち込むが、途中捲られてペースが乱れ失速。
「取り止めになってしまい、調整が難しかった」と稲益師のコメントにもある様に、
決して万全ではなかった態勢からの初距離で初コース、初の重賞と、うまく噛み合わなかったのが敗因だろう。
大差で負かした相手が重賞で2着に健闘していて、デビューから3連勝の実績は本物。
今回、立て直して改めて。

スマトラフレイバー
▲クラウニングカップ
先行して渋太いタイプ。
今回の人気の一角ミリオンクラウンを、4走前に接戦の末に負かしている。
前走は珍しく地元で崩れたが、内枠もあり、リズム良く行けなくて前向きさを欠いたとのこと。
今回も最内枠で課題は残るが、この頭数なら位置も取りやすいのでは。
左回りも遠征も経験しているのが強みで、ここは展開一つで上位も狙える。
△コンヨバンコク
前走は地元船橋に戻り、トライアルを快勝。
終いはひと脚使えて走りに安定感あり、地元では3戦して全勝と船橋巧者。
「重賞の経験はプラスになっている。揉まれるのと、砂を被るのが少し苦手。
テンのスピードがあるタイプではないが、うまく自分のリズムで行けたら。」と齊藤師。
船橋コースでは外せない一頭。
△キングペルレ
2走前、同舞台で1着。先行したら粘り強く、スピード持続力ある。
初重賞だが、時計的には十分通用する。
「競走中止後だけど、馬体的にも問題なく、調整は順調です。スピードあり、重賞でも通用すると思います。」と稲益師。
追い切りの動きも良く、競走中止の影響はなさそう。
ここは試金石で、すんなり先行できれば初重賞で好勝負も。
△ロードレイジング
このメンバー内で唯一の重賞勝ちがあり、地力高く、決め手は上位。
前走は展開的には向いていたと思うが、終いの脚は今一つだったのが気がかり。
御神本騎手は「砂を嫌がったりして行きっぷりが今一つでした。
1、2角あたりでペースが遅く、途中上がってくる馬がいてなし崩しに脚を使わされてしまいました。」とレース後にコメント。
力を出せれば展開一つで巻き返せると思うが、前走の内容から少し不安が残り、この評価とした。
データ分析
参考レース
-
- 8/20
- 浦和
- 1,400m
- ルーキーズサマーカップ(SIII)
- ロードレイジング
-
- 9/4
- 大井
- 1,400m
- ゴールドジュニア(SIII)
- ゴーバディ
-
- 9/30
- 船橋
- 1,700m
- チバテレ盃(平和賞TR)
- コンヨバンコク
レース後分析<ケイシュウNEWS・取材部>
★当日の馬場状態・馬場傾向
今開催は2日目から良馬場に回復し、平和賞が行われた3日目も良馬場で開催。
逃げた馬が7連対と活躍する一方、外差しも随所に見られ、やや前有利な馬場傾向だった。
★地元TM(トラックマン)による舞台ジャッジ
船橋1,600mはスタートから1コーナーまで約250mと大井や川崎に比べ短いが、
ポジション取りが激しくなることが少なく、枠順の有利不利はない。
また、南関東で唯一スパイラルカーブを採用しており、
コーナー出口で馬群がばらけやすくなるため、各馬が能力を発揮しやすくなっている。
★レース振り返り
内枠からスマトラフレイバーがスムーズな逃げ。
二番手がキングペルレで稲益厩舎の2頭でペースを作って平均ペース。
1番人気ミリオンクラウンは2頭を見ながら三番手。ストゥディア、コンヨバンコクが続き先団が5頭。
間隔があいて後方からハネダブライアン、ロードレイジング、モエレサワンミヤギ、クラウニングカップが追走。
3コーナーから後方集団が動き出し、中でも勢いが良かったのがロードレイジング。
直線入り口でスマトラフレイバーに並びかけて一騎打ちの様相だったが3着まで。
直線の伸び脚が目立ったモエレサワンミヤギがゴール前で強襲して2着に押し上げたが、追撃を凌いでスマトラフレイバーが勝利。
1着スマトラフレイバー【立て直し成功】
パドックはシャドーロール着用で二人引き。前走から体を絞って好気合。前進気勢を感じる。
好枠からスムーズに逃げて道中は同厩キングペルレが2番手だったため、比較的落ち着いた流れで運べた。
4コーナーで外からロードレイジングが並びかけて交わされそうになったが、並んでから抜かせない根性を発揮。
今開催はインコースを通った馬が有利な傾向もあり、コース適性を読んだ鞍上の好判断も光って待望の重賞初制覇。
『砂を被るのを嫌がったり、少しフワフワする処があるので、僕の判断でシャドーロールを着けましたが、効果がありましたね。
位置取りに関しては「ある程度前目で」とは指示をしましたが、ジョッキーの判断であの形になりました。
淀みないラップで押し切ったので、強い内容だったと思います。
今回はハナに行きましたが、極端にモマれず、外の番手なら全く問題ありませんよ』と稲益調教師。
今後はマークされる立場となるため、重賞で戦う上では競られたり、鎌倉記念のような出入りの激しい競馬も増えてくるはず。
ただし、大敗直後でも自分の形なら渋太いことは覚えておきたい。
2着モエレサワンミヤギ【収穫ある一戦】
パドックは二人引き。落ち着きがあって周りも気にしていない。少し腹目はポテっと映すが体型的なものだろう。
発馬ひと息で後方からの競馬だったが、慌てることなくスムーズな周回。
ロードレイジングが動いた時に鞍上も軽く仕掛けたが、なかなかスピードアップせず勝負処から追い通し。
ラスト1ハロンからの伸び脚が良く、ゴール前で際どく迫ったが惜しくもクビ差届かず2着。
未勝利勝ち直後に使った前走のサンライズカップは道営トップレベルの2歳が集まる出世レース。
そこで見せた末脚が今回に繋がった。舞台が1,800mだったら結果も違ったはず。
11月9日現在、船橋・森泰斗厩舎へ移籍しており、今後は南関東が主戦場となりそう。
本橋騎手は近年の平和賞で22年1着、23年3着、そして25年2着。
これは全て道営所属馬とのコンビ。来年以降覚えておきたいデータ。
3着ロードレイジング【復調の兆し】
パドックは初コースで少し周りを気にしての周回だったが、イレ込む面もなく周回。程よい気合乗り。
出負け気味で後方から進め、3コーナー手前から外を通って押し上げ4コーナー先頭の勢い。
差し切りそうな勢いだったが、ラスト1ハロンからもうひと伸びできずスマトラフレイバーを交わせず最後は3着。
ルーキーズサマーカップは勝負どころをインからロスなく立ち回って勝利。
鎌倉記念は出入りの激しい展開で持ち味を生かせなかった。
平和賞で勝利を掴めなかったが、勝ちに行く競馬をして存在感を見せられたのは今後に繋がる。
『鎌倉記念に比べると相手関係は楽になっていたし、調子も良かったので凄く自信はあった。
4コーナーでは差し切ったと思ったけど、内ラチ沿いが有利な馬場で通った位置取りの差が大きかったかな。
それでも鎌倉記念は向正面でマクられて怯んだことが敗因だと分かって良かった。
自分の競馬ができれば、今後も上位を狙えそうだ。次走は未定だけど、芝を走らせてみたい気持ちはある』と加藤調教師。
4着クラウニングカップ【枠順に泣く】
ブリンカー着用馬でパドックは二人引きで気合乗りがいいし、馬体もキッチリ仕上がっていて好気配。
これまでのレースぶりからインでモマれる恐れがある内枠の捌きを心配していたが、
後方からの競馬を強いられて思うように動けなかった印象。
それでも最後は4着まで押し上げてきた。左回りは盛岡で経験しており問題なし。
距離の不安はなく、今後もモマれずスムーズな競馬ができれば力を出せる。
11月9日現在、船橋・山下貴之厩舎へ移籍しており、今後は南関東が主戦場となりそう。
6着キングペルレ【見限れない】
パドックでは二人引き。落ち着きがあって、見た目には前走競走中止の影響を感じなかった。
発馬を決めて、逃げたスマトラフレイバーの外二番手。
無理のない追走だったが、4コーナー手前でロードレイジングが並びかけてきた時に抵抗できず後退。
最後は脚が上がってしまい6着。
結果論になってしまうが、多少なりとも前走競走中止の影響はあったかもしれない。
『いい状態に仕上がっていたので期待していましたが、前走で心房細動になった影響が微妙にあったのかもしれません。
レースでは仕掛けて行ったわけでもなく無理することなく二番手につけたのに、あれほど行きたがるとは想像外でした。
次は馬を前に置いて折り合いをつけ、終いの脚を生かす競馬をしたいと思います。
能力的にはスマトラフレイバーと同等のものがあると思っているので、巻き返したいですね』と稲益調教師。
順調な調整過程で次走を迎えることができれば、当然見直しが必要だろう。
7着ミリオンクラウン【初コース影響】
スタートの反応が今ひとつで笹川騎手がステッキを入れて先行。
道中は外三番手で折り合っていたが、
4コーナー手前で外からロードレイジングが押し上げてきた際は抵抗できず鞍上の手が動いていた。
パドックでは幅のある馬体が目につき、活気もあって気配は良好だったが、レースで弾けなかった。
直近2戦が芝のレース。
レース前の調教師コメントには『芝が向くことは確かですが、ダートでも同じように走れる馬』とあったが、
キャリア初の左回りや関東までの長距離遠征。適性の部分で差が出てしまったかもしれない。
8着コンヨバンコク【展開に恵まれず】
パドックは二人引きで気合良好。徐々に体を増やして見た目の印象は良かった。
出負け気味だったが、大外枠でうまくリカバリー。
ただ、1コーナーで内からミリオンクラウンに抵抗されてしまい、1~2コーナーは外々を回される展開。
向正面に入ってからは折り合って運んでいたが、息つく暇なく3コーナーから後方集団が動き出し、そこで抵抗できなかった。
自分のリズムで勝負処を馬なりで運んだ前走と比べると息の入らない展開。
『元々、左回りは外にモタれ、右回りは内にササる面がありますが、
ある程度のポジションを取るためにテンに仕掛けて行ったところ、行きたがった上に、モタれてしまい競馬になりませんでした。
内枠なら前に馬を置いて進めることができるので違った内容になったと思いますが、全てが悪い方に出てしまいました。
僕自身も馬も経験不足で若さが出てしまいました。
もっとやれる力がある馬ですので、この敗戦を次に生かしたいと思います』と岡村健司騎手。
チバテレ盃の勝ちっぷりからも力は持っており、折り合って運べれば違った姿を見せられるはず。
レース回顧
レース概要
| 実施日 | 11/5(水) |
| 競馬場 | 船橋競馬場 |
| 距離 | 1,600m |
| 出走条件 | サラ系2歳 |
| 負担重量 | 牡馬55kg 牝馬54kg |
| 優先出走権 | 1着馬に「全日本2歳優駿(JpnI)」の優先出走権付与 |


