3歳ダート三冠2024

レース回顧UP!
ジャパンダートクラシック

3歳ダート三冠

2024年、日本のダートは大きく変動。
地方・JRAの枠を超えた3歳ダート三冠の創設だ。

  • 2024年4月24日 大井1,800m

    羽田盃(JpnI)

    アマンテビアンコ

  • 2024年6月5日 大井2,000m

    東京ダービー(JpnI)

    ラムジェット

  • 2024年10月2日 大井2,000m

    ジャパン
    ダートクラシック(JpnI)

    フォーエバーヤング

Pick Up レース

2024.10.2 大井2,000mジャパンダートクラシック(JpnI)~3歳ダート三冠最終戦~

'ジャパンダートクラシック

2023年優勝馬 ミックファイア号

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Road to ジャパンダートクラシック

JRA所属馬の詳細な出走馬選定方法はこちら
(PDF/地方競馬全国協会)

ジャパンダートクラシックとは

3歳ダート三冠の最後を飾る「ジャパンダートクラシック(JpnI)」。

従前の南関東クラシックは三冠全てが春シーズンに行われる“アメリカンスタイル”だったが、ダート三冠の創設に合わせ、最後の一冠は秋シーズンに行われる“ヨーロッパスタイル”に変更となった。

アメリカンスタイルは三冠全てを完走するタフさが求められたが、ヨーロッパスタイルに変更となり、春のクラシック組 vs 夏の上がり馬の図式となるのは非常に興味深いところだ。

2023年までは「ジャパンダートダービー」の名称で実施され、南関東・大井所属のミックファイアが無敗の南関東三冠を達成し、25年の歴史に幕を閉じた。

さぁジャパンダートクラシックとして生まれ変わった今年はどんなドラマが待っているのか!?
3歳ダートチャンピオンを決する大一番にぜひご注目を!

有力馬紹介
データ分析
南関データ分析
参考レース
レース回顧(文:井上オークス)

大井競馬場のパドック脇には、場立ち予想のお立ち台がずらりと並んでいる。
私はソワソワと入れ込みながら、なじみの予想屋さんに声をかけた。
すると百戦錬磨の玄人は言った。

「やっぱり瑠星の馬はめちゃくちゃ強いよ」

2024年10月2日、ジャパンダートクラシック。
熱気むんむんの観客がカメラやスマートフォンを構えるなか、ダート三冠の最終戦に出走する15頭がパドックに姿を現した。

パドック

パドック


単勝1.7倍の1番人気に支持されたのは、JRAのフォーエバーヤング。
新馬戦、JBC2歳優駿(門別)、全日本2歳優駿(川崎)、サウジダービー、UAEダービーと破竹の5連勝を飾り、勇躍アメリカへ。
「スポーツのなかで最も偉大な2分間」と言われるケンタッキーダービーで大接戦を演じて僅差の3着。
世界を飛び回るスターホースが、533キロの馬体を揺らして威風堂々と周回を重ねる。

京浜盃(大井)を制した大井のサントノーレをはじめ、5頭の南関東所属馬が出走。
東京ダービーで4着に食い込んだ高知のシンメデージー、岩手の二冠馬フジユージーン、
ホッカイドウ競馬の3歳三冠で1着・2着・2着だったブラックバトラーが、遠路はるばる大舞台へ挑む。

大井の夜空にトゥインクルファンファーレが鳴り響く。
1万6千人を超える観客が見守るなか、ジャパンダートクラシックのゲートが開いた。

まずカシマエスパーダ&田邊裕信騎手が逃げを打った。
フォーエバーヤング&坂井瑠星騎手はスタート直後に躓いてバランスを崩したが、サッと立て直して2番手につけた。
サンライズジパング&武豊騎手は3番手でレースを進める。
岩手のフジユージーン&森泰斗騎手は、積極果敢に4番手を追走する。

4コーナーをまわって直線、フォーエバーヤングが先頭に躍り出た。
中団で脚を溜めたミッキーファイト&戸崎圭太騎手が2番手に浮上して猛然と脚を伸ばす。
しかしフォーエバーヤングは猛攻を封じ込め、大歓声を受けながら1着でゴールを駆け抜けた。
2着はミッキーファイト、3着はサンライズジパング。
4着がラムジェットで、高知のシンメデージーが5着に食い込んだ。

坂井騎手はこう振り返る。
「とてもリズムよく走っていました。
今日は素晴らしいメンバーが揃っていて、いつ後ろから来るかわからないので、最後まで油断しないようにしっかり追いました」

2分4秒1という勝ち時計は、良馬場であったこと、昨秋からタイムを要する白い砂に変わったことをふまえると破格のタイム。
ところがフォーエバーヤングを管理する矢作芳人調教師によると…。
「ケンタッキーダービー後は非常に疲れていたので、回復に手間取りました。
今日までにもう少し仕上げたかったのですが、八分程度しか仕上げられなかったというのが正直なところです」

目一杯に仕上がったら、一体どんな走りをするのだろう。
次走は11月2日にアメリカのデルマー競馬場で行われるブリーダーズカップクラシックを予定。
矢作調教師の父は、大井で騎手および調教師として活躍した矢作和人元調教師。
坂井騎手の父もまた大井の騎手として活躍し、現在は大井の調教師として奮闘する坂井英光調教師。
大井にルーツを持つ子弟コンビが、大井でつかんだ勝利と大声援に背中を押されて、世界の舞台へ羽ばたく。

高知のシンメデージーは後方から脚を伸ばして5着。
4着だった東京ダービーに続く快挙だ。

手綱を取った金沢の名手・吉原寛人騎手はこう振り返る。
「『できればいい位置を取りたい』と思っていたんですけど、
前がやり合う感じになったので、先行争いには参加しないで馬のリズムを優先しました。
前に行っても後ろから行っても、しっかり脚を使ってくれる。ホントに頭が下がります。
レースセンスというか、そういうポテンシャルの高い馬だと思います。
今日のメンバーでいちばん小さい馬(450キロ)でしたが、立派な走りだったと思います」

シンメデージーを管理する打越勇児調教師は言う。
「なんか勝ったぐらい嬉しいです(笑)。
一緒にレースを見ていた浦和の野口(寛仁)調教師が『5着に来てるんじゃないですか!?』と言ってくれて、
ゴール後は握手をかわしました。
やっぱりいい脚を使いますね。東京ダービーの時よりも相手が強くなったので、
どこまでやれるかと思っていたのですが、すごくいい脚で伸びて来て興奮しました。5着で悔しいけど嬉しいです」

吉原寛人騎手と打越勇児調教師

吉原寛人騎手と打越勇児調教師


グレードレースを制した高知所属馬は、1998年の黒船賞馬・リバーセキトバのみ。
シンメデージーや、今年の高知三冠馬プリフロオールイン(同じく打越厩舎)には、
「高知デビュー馬として初のグレードレース制覇」をやってのける可能性が十分にあると思う。夢膨らむ激走だった。

岩手のフジユージーンや大井のサントノーレは先団に食らいついて、攻めのレースをした。
サントノーレは7着、フジユージーンは10着に敗れたが、見る者の胸を熱くする走りだった。
思うような走りができなかった馬も、フォーエバーヤングというスーパーホースと戦った経験は、今後に繋がると思う。

あれは2年前のこと。

「南関東の三冠レースが“3歳ダート三冠”として生まれ変わる」と聞いて本当に驚いた。
ジャパンダートダービーがJpnIの格付けはそのままにジャパンダートクラシックと名称を改めて、
7月から10月に時期を移して開催されることはすんなり受け入れられた。
しかし南関東のナンバーワンを決めるレースとして親しんできた羽田盃と東京ダービーがJpnIに格付けされると、
まったくの別物に変わってしまう気がした。

なんで私はこんなにモヤモヤするのか。その理由を自問してハッとした。
私は「JRAの馬ばかりが勝って、地方馬に勝つチャンスがなくなってしまう」と恐れているのだ。
戦う前から諦めるなんて、地方競馬ファン失格じゃないか。
今度は自分自身にモヤモヤして、前向きに受け止めようと努めることにした。

JRA所属の芝のスターホースについて熱く雄弁に語ってくれるのに、
JRA所属のダートの活躍馬にはまったく興味を示さない人がいるのはなぜだろうと思っていた。

ひょっとしたら……
ダートのオープン馬はJRAだけでなく地方の様々な競馬場を走っているものだから、比較検討が難しいのではないか。
ダート三冠が始まることで、情報も増えて“入り口”が広がるのではないか。

“3歳ダート三冠”の初年度が終わって。
羽田盃も東京ダービーもジャパンダートクラシックも、馬券の売上はレースレコードを更新した。
入場者数も大幅増。より多くの人が注目した。
改革をきっかけにダート競馬の魅力を知った人もいるだろう。

「大井のサントノーレは京浜盃でJRA勢を倒したんだなあ」とか。
「岩手のフジユージーンが強いらしい」とか。
「高知のシンメデージーは凄いぞ」とか。
「去年は大井のミックファイアが三冠を達成したんだなあ」とか。

ジャパンダートクラシックの取材を終えて一息ついていると。
ジェットスピードという馬で最終レースを勝った坂井英光調教師が
「瑠星、今回はめっちゃ緊張したみたいですよ」と言って笑った。
ふと思い立って、坂井調教師に「ダート三冠についてどう感じていますか?」と問うてみた。

「僕は大賛成です。厩舎を開業する時から『世界を獲りたい』と考えていました。
そのために、ダート三冠はかなりプラスだと思うんです。変化はプラスに捉えた方がいいですし、
『ダートだったら坂井厩舎の仕上げがいいんじゃないの?』って思われるようになれば、
いい馬を預けてもらえるようになると思うんです。
今日改めて『勝つためにはいい馬を入れなきゃいけない』と実感しました」

そして坂井調教師は2021年の厩舎開業当初から、打越調教師と親交があるという。

「打越先生はバイタリティーが凄い。先生とお話をさせてもらって、
『JRAの馬を倒して世界に挑戦したいって考えていたけど、今のままでは無理だな』と思ったんですよ。
刺激を受けますし、勉強させてもらっています」

坂井調教師はそう言ってにっこり微笑んだ。
垣根を超えた共鳴。挑戦が挑戦を誘うのだ。
いろいろな点と点が線で繋がって、また競馬に惚れ直した大井の夜だった。

坂井英光調教師

坂井英光調教師

レース概要
実施日 10/2(水)
競馬場 大井競馬場
距離 2,000m
出走条件 サラ系3歳
負担重量 牡馬57kg 牝馬55kg
優先出走権 1着馬に「JBCクラシック(JpnI)」の優先出走権付与

過去の Pick Up レース

※南関東4競馬場の開催日程により、対象レースやキャンペーン内容などが変更となる場合がございます

クラシック戦線 全体図
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