2024.6.5 大井2,000m東京ダービー(JpnI)~3歳ダート三冠第2戦~
2023年優勝馬 ミックファイア号
キャンペーン
エントリー
エントリー
エントリー
エントリー
3歳ダート三冠
JRA所属馬の詳細な出走馬選定方法はこちら
(PDF/地方競馬全国協会)
東京ダービーとは
第70代、そして3歳ダート三冠創設元年の「東京ダービー馬」の称号を手にするのは。
3歳ダート三冠第2戦「東京ダービー(JpnI)」はダートのクラシックディスタンス「大井2,000m」を舞台に争われる。
東京ダービーは長年に渡り“南関東ホースマンの夢”となっていたが、3歳ダート三冠競走の創設により全国に門戸が開かれ“日本ダート競馬の夢”へと様変わりする。
東京ダービーに出走できる馬は「地方馬12頭」に対して「JRA4頭」の合計16頭。
例年以上に東京ダービー出走のハードルは上がることになるが、各トライアルレースを勝ち抜いた精鋭たちによる、たった一つの栄冠を巡る争いに是非ご期待頂きたい。
有力馬紹介
データ分析
参考レース
レース回顧(文:浅野靖典)
3歳ダート重賞の日程や条件が大きく変わった最初の年。
羽田盃と東京ダービーは条件が「ダートグレード競走」に変更され、
7月に行われていた「ジャパンダートダービー」は「ジャパンダートクラシック」と名称を変えて10月に移動することになった。
それに伴って、その前哨戦として南関東にダートグレード競走が3つ誕生。
その出走頭数、
●ブルーバードカップ=9頭(1月17日・船橋1,800m・JRA出走枠3頭)
※JRA所属馬には羽田盃への優先出走権が付与されない
●雲取賞=16頭(2月14日・大井1,800m・JRA出走枠3頭)
●京浜盃=9頭(3月20日・大井1,700m・JRA出走枠3頭)
で、やや極端。
そして羽田盃は8頭(JRA出走枠4頭)だった。
しかし東京ダービーは16頭立て(JRA出走枠4頭)。
さすがに「ダービーは別格」ということなのかもしれない。
それとは別に、地方所属馬の出走意欲につながったと推察されるのが、今年から開始された「3歳競走地方所属馬付加賞金」。
3歳ダート三冠競走で10着以内に入った地方所属馬の馬主に、賞金とは別に“付加賞金”がつくという制度だ。
つまり8頭立てだった羽田盃は、地方所属馬が出走すれば、あと2頭は確実に“付加賞金"がもらえていた。
その金額は9着なら100万円、10着なら50万円。
私は事前にそのことを知っていただけに、8頭立ての羽田盃を不思議に思った。
もしかしたら羽田盃のあとに、その件が知れ渡ったのかもしれない。
東京ダービーは実績的に“チャレンジャー”といえる馬も参戦。
“付加賞金”の金額は1着の金額に比例するので、東京ダービーは10着でも出走手当などのほかに100万円が支給される。
ところで、南関東の賞金体系は変則的になっている。
一般のレースは「190制」で、2~5着は1着賞金に対して2着=40%、3着=25%、4着=15%、5着=10%だが、重賞は「170制」。
同じく2着=35%、3着=20%、4着=10%、5着=5%と、減少の傾斜がきつい。
東京ダービーは1着が1億円なので、5着賞金は500万円となる。
この金額は、東京ダービーの2日後に行われた3歳オープンの「若竹賞」の1着と同一。
普通に考えると「東京ダービーの5着」と「若竹賞の1着」が同等の価値とは言いにくいのだが、
金額だけをモノサシにすると“同じ”になってしまう。
しかし付加賞金があるおかげで、大井の3歳ダート三冠は“名誉”に“賞金額”が伴う形になっている。
さて、東京ダービーにはファンの注目を集める2頭が出走を予定していたが、いずれも回避することになってしまった。
羽田盃を制したアマンテビアンコは、脚元に軽微なトラブルが発生。
岩手で圧勝を続けていたフジユージーンは、馬房内でのアクシデントで遠征をとりやめると発表された。
その一方で、羽田盃で2着に入ったアンモシエラは参戦。
翌週に牝馬限定の関東オークスがあることを考えると、ここへの出走はチャレンジの要素がある決断だ。
もう1頭、意欲の参戦を果たしたのが高知所属のシンメデージー。
高知デビューで6戦6勝という成績で、前走は園田競馬場の西日本クラシックを制した。
こちらは同じ厩舎に7連勝中のプリフロオールインがいることが遠征した理由のひとつだろう。
それでも単勝人気はJRAの4頭に続く5番人気。
ただし、その単勝オッズは26.7倍。
4番人気のハビレも19.1倍で、人気は上位3頭に集中する形になった。
単勝1番人気はラムジェットで1.7倍。
サトノエピックが3.2倍、アンモシエラが4.8倍と続いた。
東京ダービーのパドック
パドックでのラムジェットは、気合が感じられる力強い歩き。
サトノエピックは今回もシャドーロールを装着して落ち着いた歩様を見せていた。
対してアンモシエラは2人引きで首を上下に振るシーンが多く、テンションが高くなっている様子。
しかしゲートが開くとアンモシエラが羽田盃と同じように先手を取った。
続く2番手にはサトノエピックが付け、ラムジェットは過去6戦とは全く違う3番手からの競馬。
シンメデージーとティントレット(大井)がそのあとに続いた。
その流れはスローだったが、向正面に入ったあたりからペースアップ。
すると徐々に馬群が縦長になっていった。
こうなると前残りは確実。
4コーナーでは先手を取ったアンモシエラと2番手を追走したサトノエピックの勝負になるかという雰囲気で、
3番手を追走したラムジェットは鞍上の叱咤激励に対しての反応が鈍いように見えた。
しかしラムジェットは最後の直線に入ると一気に加速。
残り200mは独走となった。
「普通に回ってくれば勝てるかなと思っていたけれど、3番手に付けるとは。
ジョッキーが勝ちに行きましたね。ただ、4コーナーのところでは大丈夫かなと思いましたが」
と、ラムジェットを管理する佐々木晶三調教師。
しかし3走前からコンビを組んでいる三浦皇成騎手は
「この馬のリズムを守ることだけを考えていました」と、実力を信頼していたようだった。
東京ダービーゴール前(写真:両角昭男)
2着のサトノエピックは勝ち馬から6馬身差。
「3コーナーで引き離すイメージで仕掛けましたが、相手が強かった」と横山和生騎手。
アンモシエラは最後の直線で脚が鈍ったが、2着から2馬身差の3着に踏みとどまった。
「自分のペースで行けましたが、さすがに相手が強かったですね」という坂井瑠星騎手のコメントは2着馬と内容的にほぼ同じ。
ただ坂井騎手は「牝馬同士なら」と付け加えた。
そして3着から2馬身半の差で、シンメデージーが4着に入った。
吉原寛人騎手は「スローペースのおかげか集中して走ってくれて、最後も脚を使ってくれました。さすがです」と笑顔。
「夢を見ましたね」というコメントは、見守った地方競馬ファンの多くも同じことを思ったことだろう。
それにしてもシンメデージーのチャレンジは大成功。
4着賞金(1,000万円)に加えて「JpnI競走で5着以内の地方最先着馬」のボーナス(馬主800万円、調教師100万円、騎手と厩務員は各50万円)を獲得。
さらに前出の「付加賞金」が1,000万円で、高知優駿よりはるかに大きい成果を持ち帰ることになった。
続く5着にはハビレが入って、南関東の最先着は6着のシシュフォス(船橋)。
ただ、5着からは5馬身差で、森泰斗騎手は「もう少し距離があってもいいかもしれない」と浮かない表情をしていた。
羽田盃3着のフロインフォッサルは、本田正重騎手が
「コーナーでの反応はもうひとつでしたが、最後は脚を使っています。まだこれからの馬」
と、7着でも今後への手ごたえを感じた様子だった。
そして東京湾カップを制して臨んだマコトロクサノホコは9着。
「ペースが遅かったし、この馬のエンジンがかかるのも遅かった。もっと伸びるイメージでしたが」と御神本訓史騎手。
ただ、臨場した秋葉文勝厩務員は「もしかしたら左回りのほうがいいのかも。
でも最初のころ(昨年は門別所属)に比べると、すごい成長ですよ」と笑顔を見せていた。
ちなみにマコトロクサノホコは、様似の出口繁夫さんの牧場で誕生。
3年前の生産馬はこの1頭だけで、おそらく出口さんが送り出す最後の競走馬となる。
その1頭が「東京ダービー」に進んだのは大きな名誉。さらなる成長を期待したくなる存在だ。
このあとの地方競馬における3歳ダートグレード戦線は、
9月3日に盛岡競馬場でダート2,000mの不来方(こずかた)賞、10月2日に大井の2,000mでジャパンダートクラシックが行われる。
その舞台には世界で輝かしい成績を残したフォーエバーヤングが参戦する予定。
ラムジェットも10月2日を目標に調整される。
「まだ本気で走っていませんからね。そこで勝負をつけて、来年は海外に行きたい」と、佐々木調教師は10月を楽しみにしている。
新しい3歳ダート三冠の最終戦は一騎打ちになるのか、それとも急成長を遂げて食い込んでくる馬がいるのか。
すべての馬が夏を順調に越してくれることを祈りたい。
その一方で、各地では「ダービー」改め「○○優駿」が行われている。
馬券の発売額が上昇したことで、各地区の頂上決戦の賞金額も上昇。
そのため重賞日程の変更がなければ、来年以降も東京ダービーは基本的に「JRA対南関東」という形になるだろう。
そういうなか、平坦小回りの高知競馬場で鍛えられたシンメデージーが健闘したことは特筆すべき結果。
来年以降の東京ダービーでは“地元馬”の好走を期待したいものだ。
東京ダービーのモニュメント
レース概要
実施日 |
6/5(水) |
競馬場 |
大井競馬場 |
距離 |
2,000m |
出走条件 |
サラ系3歳 |
負担重量 |
牡馬57kg 牝馬55kg |
優先出走権 |
なし |